ラ・セレナ皆既日食・観測本番編

Keietsu Sayama

Edificio Paseo Penuelas:アパートメントハウス近場の位置
Edificio Paseo Penuelas近場の位置・・・右端に書かれた出入口から海岸へ歩く 赤い星が観測場所 地図クリックで拡大

(25)間もなく皆既日食

部分日食中も太陽は、こちらをめがけて照り付けてきます。陽射し避けの折り畳み傘が役に立ちます。今回は気温と湿度が同時に測れるモノを持って来ましたが、撮影に忙しく気温しか測れないです。

部分日食が始まる前は20℃あった気温も肌寒さを感じるようになると、14℃に低下します。この時は食分90%。
観測地にヘリコプターが現れる
観測地にヘリコプターが現れる
5分後にそれぞれのフィルターを外します。相方には、こちらのスマホで本影錐を手持ちで撮影してもらいます。

三脚固定撮影なので、写野の真ん中に太陽を配置したいです。その作業に手間取り、第2接触のダイヤモンドリングを迎えます。

Nikon COOLPIX P1000のピントが合わず四苦八苦しました。皆既日食中に最大接触となった頃、写野を広げたり狭めたりして工夫したらピントが合いました。
皆既中の本影錐
皆既中の本影錐
第二接触のダイヤモンドリングで2ヶ所からベイリービーズが見えていたので、ピントが合わなかったのが悔やまれます。

実はもう1つのSONYビデオカメラでは、第2接触のダイヤモンドリングで2ヶ所からベイリービーズを捉えていました。

COOLPIXにかかりきりだったので、写野から外れています。ピントが合っていても写真の価値はゼロです。これは露出とピントが合っていても、日周運動で画面中央から写野が外れたためです。
第2接触のダイヤモンドリング
第2接触のダイヤモンドリング
今回の皆既日食継続時間は、2分9秒ほどです。1分以上もNikon COOLPIX P1000と格闘していて少し疲れた頃、肉眼で観測しました。肉眼では、皆既中の本影錐の写真が一番イメージに近いです。

コロナは白くて美しく、円になった蛍光灯を遠くから眺めているような感じに見えています。太陽高度が13度なので、首にも負担がかからないです。皆既中の本影錐も美しいのですが、水平線にある金星と太陽に近い水星は見ている余裕がなくて見られなかったです。

やっとNikon COOLPIX P1000のピントが太陽にあったので、皆既日食継続時間が残り30秒を切った頃から急いで撮影を再開します。
皆既日食の内部コロナ
皆既日食の内部コロナ

2019.7.2 La Serena,Chile. Total Solar Eclipse.

(26)皆既日食が終わった

第3接触のダイヤモンドリングはピントが合ったCOOLPIXで撮れました。プロミネンスの強拡大を目指していましたが、COOLPIXのピントに苦労して心に余裕が無かったです。

第3接触ダイヤモンドリングの6時と9時方向に大きなプロミネンスが見えました。これを焦点距離2000mmで捉えたのは収穫です。
第3接触ダイヤモンドリング
第3接触ダイヤモンドリング
観測中に地元のカメラマンに何回も撮られましたが、自分は今回のメインイベントではないし被写体にもなりません。ただ日本から来たと答えると、ラ・セレナに日本庭園があるのでウケは良いです。

日食観測は何回目?観測歴は何年?それに答えると皆一様に驚きます。映した写真を見せたら更に驚かれます。 これほど人生の大半を皆既日食に情熱を傾けるヒトも珍しいのでしょう。(皆既15回目、金環4回目、観測歴31年)
第3接触ダイヤモンドリング直後
第3接触ダイヤモンドリング直後
本当は誰もいない海岸で独りで観測したかった。撮影に対する集中力がまるで違ってきますからね。

ただ撮影の合間に面白いヒトもいるもので、観測場所の前方に座っていたヒトは、皆既日食が終わるまでお香を炊いて神に祈りを唱えたり、後ろの道路で担ぎ太鼓を叩くヒトもいました。結構にぎやかな観測でしたね。旅のトラブルはありましたが、それを忘れさせるような感動的な瞬間を享受しました。
第3接触ダイヤモンドリングを相方が撮影
第3接触ダイヤモンドリングを相方が撮影

観測成功を喜ぶ・・・右端は星系カメラマン
観測成功を喜ぶ・・・左の二人はフランスから来た、右端は星系カメラマン

(27)ラ・セレナでグリーンフラッシュが見えた

太陽はかなり復円しました。人々は家路に就き始めます。気温も太陽が完全に復円する第4接触には13℃足らず。ジャケットは着ていますが、長時間外にいるので身体がかなり寒いです。やがて太陽は水平線に沈み始めます。部分日食中に名刺をあげた方々も帰ってしまい、我々の独壇場です。

日食仲間のメーリングリストからビクーニャ辺りで昨日、グリーンフラッシュが見られたそうです。二番煎じで、狙ってみました。
食分40%で欠けた復円中の太陽
食分40%で欠けた復円中の太陽
水平線に沈む太陽はkenko PRO ND100000フィルターを付けて撮らないとまだ眩しいです。フィルター越しに見る太陽の上辺は水平線の大気現象でいびつな形となり、途切れ途切れになります。

そこで太陽の端々が切れた頃、グリーンフラッシュが見えました。太陽の下辺が水平線に接した頃にフィルターを外します。すると肉眼でもファインダーにグリーンフラッシュが見えました。最後に太陽が沈み切る前に光ったグリーンフラッシュは特に奇跡的です。
グリーンフラッシュが見えた
グリーンフラッシュが見えた
その現象は美しくも素晴らしくもあります。あまりの感動に声を出して喜び、自然と拍手をしました。自然の恵みと奇跡に感謝です。

余韻に浸る間もなく寒さが襲ってくるので、機材と椅子の撤収を始めます。廻りは人影がまばらでした。観測の帰りに綿飴売りがいて、相方が買っていました。1000チリペソで買えるそうです。売り子が怖い顔をしていたので一瞬撮影を躊躇したのですが、せっかく来たので撮影しました。綿飴はピンク色をしています。
太陽が沈み切る前に光ったグリーンフラッシュ
太陽が沈み切る前に光ったグリーンフラッシュ
機材と椅子の撤収を終えて帰るころ、帰りの車の渋滞が激しくて写真の後ろのように数珠つなぎでした。これが事前に分かっていたので観測地に近いアパートメントハウスに泊まったのです。

結局どこかのレストランで観測成功を祝う体力も食い気もなく、真っ直ぐにアパートメントハウスへ戻りました。

全ての機材と椅子を宿に持ち帰りホッとしたのも束の間、不意に強烈な眠気が襲ってきました。せっかく買った綿飴も半分くらい食べたところで相方は寝てしまいます。

それから4時間後に目が覚めてチリ時間で日付が変わった頃まで紀行文を書いています。また寝るので、先にシャワーを済ませて自然乾燥で髪を乾かしながら紀行文を執筆して寝ます。

荷物整理は起きてからやります。綿飴の袋の閉じ口が空いたままだったので、1/10くらいの大きさに縮んでしまいました。

日食撮影を全てを終えたので、充実した朝を迎えます。前の宿の息子さんであるドライバーは夕方4時半にこちらへ迎えにきます。ラ・セレナからサンチアゴへのフライトは夜7時半に出発します。
相方が綿飴売りを見て喜ぶ
相方が綿飴売りを見て喜ぶ

Solar Green flash

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