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(10)スカスカのガラガラ
相方は、まだ冬の服装でしたが観測地は半袖の上着を着れば充分です。ジェシー宅に戻り、水分補給をします。トイレ後すぐ機材置き場に戻りました。
すると相方は村田さんと談笑していました。一人で機材の番をするよりも良いでしょう。村田さんはジェシー宅にあった椅子を運んで下さいました。色々と動いて下さってありがとうございます。
彼の息子さんには盛んに一宿一飯の恩義を説いていて、色々と手伝いをするように言われました。
機材やジェシー宅の椅子を管理するのは私達と村田さんで交互に見ることになりました。
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皆既日食撮影機材 |
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村田さんに感謝の意を伝えてジェシー宅に戻ります。
既に朝食が用意されていて水を飲みながら美味しく頂きました。早朝に買われた色違いのドーナツが目新しかったです。チョコでコーティングされたドーナツを一つ頂きました。
今回は他にもジェシーさんの知り合い夫婦が来られていて、小さい子どもさんを3人連れた一家のためにドーナツを用意されたみたいです。昼は騒がしく遊ぶ子供は、まだ就寝中で私達が食べている頃には現れなかったです。
準備万端で村田さんと交代します。村田さんは外のテントに泊まっていたので、テントに戻られました。
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ジェシー宅にあった太陽のオブジェ |
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ギャラリーも段々増え始めましたが、Fairmont city parkの敷地はスカスカのガラガラでした。この公園はセイラム市役所によって日食観察者が多数やってくるので注意して見ること…と言われていたので、逆にギャラリーが集まらなかったと思います。
村田さんと交代でジェシー宅に戻ります。子供たちや姉夫婦は未だ就寝中。こちらもテントに戻って少し休みます。
日食前の興奮状態が続いているので身体は暖まっていますが、眠れない夜間は寒くて堪らず暖かいシャワーを浴びました。就寝中の方々は誰も起きず、あまりご迷惑にはならなかったようです。ジェシー宅にはシャワーしかなかったのですが、一宿一飯の恩義を丹前と丹前下だけで済ませたようなものなので、シャワーで充分です。
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敷地はスカスカのガラガラ |
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(11)部分日食開始
機材置き場に戻ったら第一接触が始まります。相方は太陽が半分欠けたら戻るとのこと。私は撮影に専念します。
ガラケーのメモ帳に保存したDATAを見比べながら撮影を進めます。撮影と言っても今回はビデオカメラだけで撮影するので、部分日食の動画は1〜2分ほど撮って動画の撮影中に静止画を撮影します。もう一つのビデオカメラは、本影錐の様子を取るためだけに設置しました。
太陽が欠けていくにつれて気温が徐々に下がります。
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第一接触 9"05'23.8" |
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太陽が半分まで欠けてきたところでやって来た相方にジェシー宅にある穴あきのお玉を持ってきてもらうように言いました。相方は快諾してお玉を持って来ました。お玉を地面にかざすとピンホール効果で欠けていく太陽が映ります。
ギャラリーの誰一人として気が付いた方はおらず、私達の独壇場でした。その頃には姉夫婦も来られていて、お玉をかざすなど色々とお手伝いをしていただきました。
日本から持って来たビクセンの日食グラスをギャラリーに見せたところハッキリ太陽が見えるので、大変好評でした。ジェシーさんの奥さんが張り切ってしまって、次々とギャラリーに見せていました。
キリのいいところで公園のトイレに行きます。泣いていた子供もいましたが、世紀の皆既日食が見られるのに状況を理解できないのは可愛そうでした。
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ピンホール効果で欠けていく太陽 |
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トイレで用を済ませて機材置き場に戻ります。太陽は更に鋭さを増して部分日食の端が鋭角になってきます。隣で観察されている村田さんが鋭角から皆既日食になるにはどう変化するの?とのご質問をいただいたので、そのまま月は太陽を覆い隠して最後には一点の光になります。そこからダイヤモンドリングの始まりです…と伝えました。
また村田さんから質問です。例えば僕はサクラメント近郊のデイビスから来たんだけれど、そこで部分日食が進むと太陽はどう変わるの?とのこと。これも月は太陽の全てを隠さずに角度を変えて欠け戻ります…と伝えました。
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食分80%の太陽 |
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初めて皆既日食を経験される方は好奇心の固まりです。
それなりにお答えできる知識を積んで来たのでどんな質問にもお答えできます。ただ太陽が糸のように細くなってきたので冷静さを保ちつつも心臓の鼓動は早くなります。
撮影スケジュールに従って事前に慌てないようにゆっくりフィルターを外します。拡大レンズをつけ直して撮影再開。ピントが合わなかった太陽にピントが合うと、一点の眩しさの反対側にコロナのリングが見えてきます。一点の光は小さくなり、ダイヤモンドリングがセイラムの空に輝きました。
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食分95%の太陽
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