アメリカ横断皆既日食・出発編

Keietsu Sayama
(1)急に決まった自力遠征

2017.8.21の皆既日食〔サロスbP45…22/77〕は、アラスカのアリューシャン列島南部1000km沖から始まり、北米大陸を経てアフリカのカーボベルデ南西500km沖で日没となります。

1サロス前の1999.8.11は、カナダ・ノバスコシア半島沖〜ヨーロッパを横断して インドのベンガル湾にかけて見られました。当時の紀行文はこちらです。

当時は、ブルガリアとルーマニアの国境近くにあるジェネラルトーシェボという街で観測出来ました。今回は皆既帯が通過する陸地が全てアメリカ国内に限られます。当日の移動が大渋滞に巻き込まれるため、事前に観測地を決めておく必要がありました。
2017年8月21日の皆既日食帯地図
2017年8月21日の皆既日食帯地図
今回の皆既日食ツアーはどこも高額で、平均して50万。一番安いツアーでも最低32万以上は必要とのことで、遠征は十中八九諦めていました。知り合いが次々とツアー参加が確定したり、自力で行かれる方のお話を目の当たりにして自分が今回遠征に行けるのは金銭的な面でも無理だと思っていました。

ところが今年の7月中旬になって相方の姉さんが夫婦でカリフォルニア州のサクラメント近郊に在住していますが、一時的に帰国した際にセイラムの友人宅で皆既日食観測が可能と相方を通して聞きました。

俄然やる気が湧いてきて、シゴトが終わってからすぐにフライト条件を検索してみました。すると羽田発では往復で20万以上するチケットが成田発の税込みで187,600円になっていたので、迷わずクレジットカードで決済しました。
セイラムの位置
セイラムの位置
次にポートランドからセイラムまでの移動で必要なレンタカーを数社当たり、三菱ミラージュのレンタカーを押さえました。オプションでカーナビも付けます。

既に手付金として一部支払い済みで、残りは現地でクレジットカード決済すると言うことです。これで総額費用が20万を超えてしまいますが、観測地に向かうのに自由な足があることは良いことです。

ちなみにポートランド空港からセイラムまでは車で1時間もあれば着くような距離ですが、今回も荷物が多くなるので年々衰えていく体力を補うためにレンタカーを借ります。国際運転免許証も取得済みです。
三菱ミラージュ
三菱ミラージュ

成田空港北ウィング出発便
成田空港北ウィング出発便…16:45発シアトル行きに搭乗

(2)久しぶりの成田空港

成田空港に行ったのは久しぶり。今のパスポートを作った年の2008.8.1巴里坤皆既日食で成田空港を利用して以来9年ぶりです。 行き方もすっかり忘れて、ターミナルの場所も案内図を見てやっとわかったほど。

ちょうどTVで高校野球の3回戦が行われて東北の高校が次々と敗れるのを見ながら搭乗口へ… ここから約8時間のフライトでシアトルへ。トランジットの時間を6時間ほど取ってからポートランドに行きます。
シアトル行き搭乗口
シアトル行き搭乗口
ポートランド空港に近いホテルで旅の疲れを癒してから目的地のセイラムまでは空港で借りたレンタカーで向かいます。…とフライト中に紀行文の文章を考えていたら大事な忘れ物を思い出しました。肝心の皆既日食撮影スケジュールを作成し忘れてしまったのです。日々のシゴトが忙しくてウチに帰っても頭からすっかり作成をすることが抜け落ちていました。

あと半年もしないうちに50歳となるし、日々の忙しさに撮影で必要なことが頭から忘却されたのです。撮影スケジュールの雛型は外付けのハードディスクにあって、それだけを思い出しさえすればいつでも作れる状態でした。
シアトル行き機上の車窓
シアトル行き機上の車窓

致し方ないので、自分で作った現地の画像DATAをメモ代わりに保存しておいたFacebookから印刷して撮影スケジュールを作ることにしました。撮影スケジュールも作っていなくて何しに皆既日食を撮影しに行くんだか…

これには伏線があって、普段コロナやプロミネンスの拡大撮影に使っているMINOLTA500mmF8反射望遠鏡のフィルター接続部分のバネが古くなって輪ゴムで押さえていた状態なので、新しく後継機種のSONY500mmF8 反射望遠鏡を出発直前に買ったのです。
SONY 500mm F8 Reflex
フードを外したSONY 500mm F8 Reflex
天体観測に詳しい専門店でND100000フィルターを買ったところ、希望していた100mm幅のND100000角形フィルターではなく82mm口径ND100000フィルターを買ってしまったので角形フィルターを買おうとしたら、在庫がなく取り寄せるのに時間がかかるとのこと。

仕方がないので82mm口径ND100000フィルターを使って撮影することに決めたもののMINOLTA500mmF8反射望遠鏡に付いているフードがどうしても外れず、SONY500mmF8反射望遠鏡を買う時にフードを外した状態で送ってもらうことにしました。 出発前日の夜にやっと届き、機材のチェックをしていたら撮影スケジュールのことなんか忘れてしまいますよ。 色々とイレギュラーなことが重なっていつものようには行かなかったのです。

それでもフードを外したSONY500mmF8反射望遠鏡にkenko 82mm口径ND100000フィルターを装着したら、口径が合っているのでスパッと入ってくれました。

何とか出発の前日までには荷物も詰め終えました。あとは日用品を詰めて行けばすぐに出発できます。最終目的地はオレゴン州の首都セイラムですが、出発便にポートランドまでの直行便を押さえられなかったのでポートランドまではトランジットしなければなりません。
kenko 82mm口径ND100000フィルター
kenko 82mm口径ND100000フィルター
(3)シアトル空港のトレインシステム

成田空港から8時間かけてシアトル空港に到着、PTSツアーの方々と税関を通ります。どこかで会ったことのある方々が殆どで、やはり現地に赴いて観測に行かれる客層は一緒ですね。

虫に刺されやすいので蚊除けスプレーを持参していますが、量が少ないのに持ち込み不可と言うことで機内でもらった水と共に棄てられました。日本ではリュックの中に入れても良かったのに…
シアトル空港のデルタ航空
シアトル空港のデルタ航空
シアトル空港のトランジットは6時間。税関検査に時間がかかることを見込んでチケットを手配したのですが、一時間で荷物検査と税関通過を終えました。この空港に訪れたのは2回目です。最初は1984年7月下旬に高校のホームスティで最初に乗り換えで降りた空港です。その後、カリフォルニア州サクラメントで英語を勉強しながら三週間ホームスティをしました。

その当時に乗ったシアトル空港のトレインシステムが33年たった今でも記憶しているくらい印象的でした。
シアトル空港のデルタ航空
シアトル空港のトレインシステム
33年ぶりに乗ったシアトル空港のトレインシステムは、乗り心地も空気感も全く変わっていなかったです。

これはサテライト・トランジット・システム(Satellite Transit System (STS))と言って、1969年から変わらず運行されている新交通システム(Automated People Mover (APM))です。

2003年以降、日本語や中国語と韓国語の字幕案内が見られるようになりました。音声案内は日本人が到着した際、日本語も織り交ぜてアナウンスしています。

シアトル空港トレインシステムの表示板
シアトル空港トレインシステムの表示板

サテライト・トランジット・システム

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