(1)アフリカ大陸初上陸 13年前から日食を追いかけている私は、アフリカ大陸へ初めて足を踏み入れました。さすがに日本からアフリカへ遠征するのは遠く感じます。成田空港を離陸し香港経由で翌日南アフリカのヨハネスブルクに到着。すぐルサカ便に乗り継ぎ夕方近くになってやっとホテルに着きました。待ち時間も含めると丸一日飛行機に乗っていた事になります。今回は1999年ブルガリアツアーで御一緒したSさんと同室にしました。 |
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これから昼食を取ります。出された食事は塩味付の焼豚。目の前に食べ物が出されるとパブロフの犬状態になってしまう私は、早速肉に齧りつきました!でもなぜか脂身が骨より堅く焼かれて食べられません。止むなく赤身だけを食べました。昼食後に一万円をザンビアの通貨と1リットルのペットボトル入りの水で交換しました。 部屋の風呂場は蛇口と風呂桶しか無く、新しいお湯を流すスペースが何もありません。仕方が ないのでペットボトルにお湯を溜めてシャワーの代わりに使いました。 |
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(2)ルサカの夜 バイキング方式の夕食を食べ終え、ホテルの中庭へ行ってみます。なんと憧れの星座南十字星が既に見えています。1994年のチリ以来なので大変うれしいです。 ケンタウルス座のα・β星も凄く綺麗!大型の双眼鏡を用意した方が南十字星β星左横にピントを合わせてくれたので覗いて見ると、宝石箱と言う星団も肉眼でハッキリ見えました。初めて見る星座に興奮します。今日は移動が多く殆ど寝ていないので部屋に帰ってすぐ寝ましたzzz |
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翌朝、目が覚めたの午前4時!アフリカ南部は冬至で夜が長いのです。同室のSさんも起きたので機材を持ってホテルの中庭へ行きました。既に何人か起きていて夜空の観測をしています。今度は、リニア彗星を見せて貰いました。既に四等級らしく彗星のコマだけがボヤーッと見えます。理由はダストの尾が殆ど無くて、イオンの尾があるのでそう見えるとのこと。明け方近いのでホテルの外に広がる芝生から東の方角を見ました。すると新月一日前の28日月が土星とアルデバランと共に三角形を作りながら昇ってきました。 | |
(3)郵便局に行く 今日は明日の観測本番に備えて、リハーサルをする日だけど本番一発観測タイプの私は暇を持て余してました。添乗員のTさんに現地の切手を買いに行きましょうと提案し、お暇な殿方と共に切手を買いに出かけました。本来なら外へ出たら危ないのでホテルの中にいた方がいいと言われているけど、殿方が四人でT嬢を囲むようにして歩けば安全だろうと言う事で、早速郵便局まで歩きました。 |
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日本大使館向かいにあるInter Continentalと言うホテルで、彼女が郵便局の場所を聞いてます。暇な我々はホテルを見渡したり、アメリカ隊の様子を伺ったり。最もこんな高そうなホテルならツアー代もかなりupする訳で、シャワー無しのホテルが我々にはちょうどいいのかも。 郵便局の場所を確認したT嬢と共に早速御立派ホテルを出て郵便局行脚しました。途中の道端でアフリカンスタイルの婦女が現れた時はカメラを持って来ていないのをどれだけ悔やんだことか。 |
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やがて青い建物の郵便局が見えてきました。切手は五種類あり葉書に使えるのは1000クワチャらしい。 1000Kのシート5枚買って、後は個人で欲しい切手を買いました。冬至でもここは北緯15度なので、昼間は30℃近くになります。夜は15℃以下に下がるようです。この気温、夏至の弘前そのものです。ホテルに戻ると観測リハーサルが終わる頃でした。明日はぶっつけ本番の観測となります。 |
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(4)感動のダイヤモンドリング 今日は皆既日食。雲一つない快晴で8回目もいただきです。友人から貰ったフィルターを500mmF8レンズフードに輪ゴムで固定します。これは国際光器が販売しているアストロソーラーフィルターと言う、一見して銀紙のようなものです。太陽が白く映り自由に加工できます。2倍のテレコンを付けて1000mmF16にしました。太陽高度が低いので上から楽にファインダーを覗けるアングルファインダーを使用。これは視野も倍に出来るので2000mmと言う驚異的な焦点距離でピントを合わせます。右の写真は食分30%欠けた時点で撮影したものですが、黒点がゆっくりと月に呑み込まれてゆくのが分かります。 |
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90%まで欠けてきて心臓の鼓動が早くなってきました。95%まで欠けた頃、別に用意した皆既日食専用のカメラにレンズを取りつけます。フィルターを取って準備。他は24mmF3.5を本影錐撮影用にします。時間は待ってくれません。手早く作業を済ませ太陽の光が徐々に失われるのを確認しつつ1000mmのピントを合わせ、第二接触のダイヤモンドリングを迎えました。呆れる程に何回も見ているはずなのになんて素晴らしい光景なんだろう!プロミネンスは赤々としていて、コロナは縦方向に見えている。木星も見えている。敷地の廻りは360゜の夕焼けで太陽に行けば行くほど暗くなる。予定通りに食の最大まで一段ずつ露光時間を長くしました。 | |
沈黙の闇の中、回りには乾いたシャッターの音だけが響いています。別のカメラで大地に映った月の影の移動も撮ります。あまりの美しさに溜息さえつくのも忘れて…第三接触に向けて今度は露光時間を短くします。たった3分間に2台のカメラを駆使して神経まで張り詰めます。ファインダー中央に太陽がきていないのを気付かないまま月の縁から彩層の赤々とした大気が見えてきました。まもなくダイヤモンドリング。2000mmで見たファインダーは、まさに圧巻!!月の山と谷がハッキリ見えた頃ついに太陽の光が顔を出しました。まるでビーズ状の木漏れ日のような…2つの独立した光が4つになりやがて1つにまとまりながらだんだん強くなる光を見つめて… | |
光が眩しくなった頃フィルムもなくなり自動巻き上げの音が響きました。部分食専用のカメラに1000mmを取りつけフィルターも付けます。今回も前回同様丸いコロナでした。月の影の移動は南半球なのでシベリアで見られた方向とは逆に進みました。まず一安心。でも部分食も貴重な天文現象なのでしっかり撮影して気温のDATAも取りました。皆既中は15℃まで気温が下がりましたが寒さを感じるより興奮と感動の方がより強く感じました。 二年ぶりの皆既でしたが、この二年間もあっと言う間でした。第四接触も撮り終えて全て撮影が終了しました。すっかり元の姿に戻った太陽はだいぶ地平線に傾いています。機材の撤収は済んでいないけど皆で観測成功の祝杯をあげます。 |
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