南半球の本影錐の移動 佐山敬悦

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日時 2001/6/21 15:11´30"→ 15:12´00"→ 15:12´40"
撮影地 ザンビア ルサカ市 ホテル外庭にて
緯度・経度 南緯15°24´57" 東経28°18´52"
露出 1秒→1秒→1/500秒
機材 MINOLTA α−8700i
レンズ AF24mm F3.5
フィルム AGFACOLOR HDC 100 plus

写真説明

こちらは、2001年6月21日にザンビアの首都ルサカ市内のホテル敷地で撮影した月の影が移動する様子です。

皆既日食は観測できる幅が非常に狭く、太陽と新月と地球が一直線に交わり、月の影が太陽を部分的に隠すことを部分日食と言います。5年に1回は部分日食が日本でも観測されます。ここザンビアでは月の影が完全に太陽を隠したので皆既日食が起こりました。この三枚の写真は、大地に映った月の影の移動する様子が良く分かります。この月の影のことを天文用語で本影錐(ほんえいすい)と呼んでいます。今回は太陽高度が30度と低いために観測できました。太陽高度が高い場合も観測できますが、淡い現象なので寝ながら上を見るしか確認する方法がありません。

実際に体験すると太陽の光が月によって失われてダイヤモンドリングを迎える瞬間、黒くて大きな影が太陽方向に迫ってきます。皆既中はその影の中に大地が覆われるので、地平線付近からわずかに影から外れた太陽の光が全周に渡って夕焼けの状態で見られます。それも長くは続かず、猛スピードで月の影は地表を駆け抜けて行きます。地球の直径を約3時間かけて通過するので、どんな交通機関も月の移動するスピードにはかないません。

やがて次のダイヤモンドリングを迎える直前に月影の移動を撮り始め、三枚目でダイヤモンドリングを撮ったと同時に月の影も地表から去ります。写真から皆既中とダイヤモンドリング直後とでは、地表の明るさの違いもお分かりいただけます。

シベリアの時に撮影した写真と比べてみると、同じ第三接触直前に撮影していますが、月の影の向きが逆から始まっているのにお気づきでしょうか?これは南半球で起こったために北半球で見られた影の移動とは逆になるからです。北半球では太陽の正午の位置が南にあるのに対し、南半球では太陽の正午の位置が北にあることと関係します。

黒い太陽の右下に見えるのが木星です。水星がすぐ近くで0等級の明るさで輝いていましたが、皆既中の空に比べて暗いため写真には映りませんでした。金星は地平線のそばにあり、写野に入りません。

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