グアム金環日食・金環編

Keietsu Sayama

食分95%の光景・・・椅子の下に見える迷光が部分日食を捉えています
食分95%の光景・・・椅子の下に見える迷光が部分日食を捉えています

(17)ビーチで金環日食

時間は刻々と金環日食の瞬間に近づいています。例によって空がより青く濃くなっていきます。まだ部分日食の段階ですが、太陽は大部分が新月に隠されているので、あれだけ暑かったビーチも涼しくなっています。

スペースシャトルの高度でこの位置に来たら皆既日食が始まっていますが、月の本影が地表に到達しないので本影を超えて擬本影が地表にやってきます。
食分98%の部分日食
食分98%の部分日食
地表のビーチでは、太陽が金環日食特有の欠け方をしています。欠けた先がものすごく鋭利になるのも金環日食の見どころです。

2000mmから3000mmに拡大して金環の端がつながるところを激写します。この瞬間にフィルターを外して露出オーバーで撮れば金環の端にプロミネンスが映っているのかも知れませんが、ファインダーが焼ける危険があるので回避しました。

それにしても素晴らしい金環日食です。グアムでこの現象を知っていて撮影する方なんて、我々の他に何人いるのでしょう?
金環の端がつながる
金環の端がつながる
過去に金環日食は3回撮影しています。最初は1992年1月4日のロスアンゼルス沖金環日食。この時は食分20%くらいから雲に覆われて最後まで撮影不可能。2回目は同じサロスで、18年と11日後の2010年1月15日の青島金環日食。地平線の雲に遮られながらも肉眼で日没金環日食の撮影に成功。

3回目は日本で見られた2012年5月21日金環日食。埼玉県北鴻巣駅前の公園に移動して観測成功。いずれも雲の影響が避けられなかったので、これほど水平線まで完璧に晴れた金環日食は初めてです。
金環の端がつながった
金環の端がつながった
計算上は、タモン湾の海岸線で真円の金環日食が見られるのですが、数キロ北東に離れたココパームガーデンビーチも充分に真円の金環日食でした。欲を言えばほんの少し左側に新月が寄っていますが、審美的に問題とはなりません。

むしろ3000mmに拡大したまま金環日食を撮影した方が問題です。ここからビデオカメラモードで撮りっぱなしにすれば金環日食の動画が撮れたのですが、部分日食撮影中にバッテリーが切れて交換したばかりなので慎重になりました。次回への教訓として、バッテリーをもう一つ買わねばなりません。
真円の金環日食
真円の金環日食
強拡大なので、ピントはバッチリ合っています。ただ金環の瞬間は画角が狭すぎて金環の反対側の写野が切れています。まるで虻蜂取らずです

完全な金環日食は、虻蜂取らずのため撮れなかったです。ようやく2000mmで金環日食を撮れた頃、第三接触が近づいていました。第三接触の瞬間も上手く撮れず、快晴の空に不満が残りました。やはりビデオカメラモードで撮影していれば良かったです。最初に装着したカメラのバッテリーも予備のバッテリーも満充電して本番に備えたのに、何で最初のバッテリーが切れるのでしょうか?
金環日食が終わる
金環日食が終わる

食分88%の光景・・・太陽の横に見える迷光が食分88%の部分日食を捉えています
食分88%の光景・・・太陽の横に見える迷光が食分88%の部分日食を捉えています

(18)復円する太陽を撮影

あとは太陽が復円する様子を粛々と撮るだけです。グアムでは太陽が部分日食のまま日没となる日没帯食なので、早めにフィルターを外してグリーンフラッシュに備えます。

太陽が復円するに従ってグアム特有の蒸し暑さが戻ってきました。新月が太陽を隠す天然クーラーも効き目が悪くなってきます。日没が近くなっているので、さすがに日中ほど暑くはならないです。撮影間隔が長くなるにつれて日陰で休憩する時間も長くなります。
食分98%の部分日食
食分98%の部分日食
食分80%の部分日食を撮りました。でも実際は、もっと太陽が太っていて部分日食が進んでいるような気がします。Excelで時間を入力すると自動的に食分何%と出る時間で撮っているので、撮影するタイミングは正しいのですが・・・

太陽高度は10度になりました。まだまだ太陽はまぶしいのですが、これから水平線に向かって欠けながら太陽が沈みます。日没の頃の太陽は食分5%です。太陽が完全に欠け終わる頃には、陽が沈んでいます。昨日タモン湾で撮った日没はまだ太陽高度が2度ほどあるので、地平線の林に遮られながら太陽は日没を迎えます。
食分80%の部分日食
食分80%の部分日食
ND100000フィルターで撮っている白昼の太陽は真っ白に映るのですが、日没の部分日食を撮っていると大気差で夕焼けの影響が強くなり太陽に黄色みかかった色が付き始めます。時間が進めば進むほどオレンジ色の割合が濃くなります。

この写真、まるでパンケーキが焼けているような感じに見えませんか?なので、一気に日没の画像を出さずに小出しに部分日食の写真を出して行きます。砂地に三脚撮影なので、太陽の像がどうしても真ん中に来ないです。実際に撮影した画像を極力トリミングして、紀行文に公開しています。
食分60%の部分日食
食分60%の部分日食
食分20%の時点で、太陽高度は2.5度しかありません。太陽の下面は水平線の揺らぎの影響で歪んでいます。この写真を拡大すると、既にグリーンフラッシュが出てきています。グリーンフラッシュはフィルターを外して肉眼でも見られる現象なので、そろそろND100000フィルターを外さなければなりません。

食分15%の17時55分にフィルターを外して撮ってみたのですが、眩しいくらいに明るかったです。食分10%の17時58分から動画で太陽を撮影しました。既に欠けた部分からグリーンフラッシュが見えています。圧巻の現象は、下の動画でご覧ください。
食分40%の部分日食
食分40%の部分日食
ココパームガーデンビーチは水平線まで雲一つない完璧な快晴です。これは期待できる映像が撮れます。カメラのバッテリーは、まだあるので早速録画ボタンを押します。

すると太陽が欠けた部分から大規模な、グリーンフラッシュが見えました。更に太陽を3000mmに拡大して撮ります。太陽の下は海に飲み込まれ、部分日食の欠けた部分からグリーンフラッシュが延々と見られます。なんと言うことでしょう。太陽が沈む直前、大規模なグリーンフラッシュの帯を見せながら太陽は沈みました。観測者も拍手するほどの完璧な光景でした。
食分20%の部分日食
食分20%の部分日食

2019.12.26 Partial Solar Eclipse and Green Flash

(19)新スイーツ・焼きマシュマロ

グリーンフラッシュの余韻が冷めやらぬ間、機材の片づけに追われます。そんな中、集合写真を撮ると言うので片づけの手を一旦止めて皆で集まります。牛山さんが撮影しているので、手元に集合写真はありません。皆さんの想像にお任せします。牛山さんのレポートは、2020年2月5日発行の天文ガイドに掲載されます。その時に、この集合写真も掲載されるはずです。
グリーンフラッシュの余韻
グリーンフラッシュの余韻
機材の撤収を完了して夕食を食べた後、珍しいスイーツを我々のために特別出してくれるとのことで注目しました。

何やらテラスの端から焼いている音がしています。その焼かれたものがテラスの中央にやってきました。周りから白くて大きなマシュマロとクッキーとチョコレートが出てきます。先にマシュマロを焼くというので、皆さんの焼く様子を撮ります。これをクッキーとHERSHEY'Sのチョコレートに挟んで焼きマシュマロを作ります。
マシュマロを焼いているところ
マシュマロを焼いているところ
マシュマロの柔らかさとチョコとクッキーの旨さが相まって中々のスイーツですね。最初は夜も暑いのに更に熱くするのか?と思いましたが、食べてみて納得しました。

焼いているものは木炭らしいです。石炭なら煙が出てくるので、煙の出ない樫で作られた木炭かもしれませんね。木炭を焼くのに時間がかかったようなので、食事中でもスタッフが何やら焼いている作業が分かりました。
クッキーとHERSHEY'Sのチョコに挟まれた焼きマシュマロ
クッキーとチョコに挟まれた焼きマシュマロ

焼きマシュマロ

(20)ココパームガーデンビーチで星空観測

腹が満たされた頃、再び星空観察をします。ビーチのキッチンの明かりが明るいので、皆さんまだ本格的な撮影はせず準備にいそしんでいます。

ツアー講師の牛山さんが天文ガイド協賛と言うことで2度目の記念撮影を申し出ます。最初は昼食を食べてからすぐに撮りました。次は星空をバックに撮ります。
カシオペア座
カシオペア座:画像をクリックすると拡大します
だいたい6秒ほど露出を掛けて皆さんの顔を懐中電灯で照らすやり方です。撮られた写真をカメラで見ると、星空と顔がちゃんと映っていました。次回の天文ガイドが楽しみです♪

しばらくしてビーチのキッチンの明かりも消え、辺りは完全な闇に覆われました。すると、星空や星座がうっすらと分かるくらいに広がります。赤道儀がないので、スマホを夜空に翳して撮りました。Photoshopで画像が荒れない程度に感度を増感させました。星空は何とか映っています。
画像をクリックすると拡大
画像をクリックすると拡大します
貸し切りのプライベートビーチでイスに寝そべりながら贅沢な夜空を満喫しました。カシオペア座が肉眼でもハッキリ分かります。私は星座に詳しくないので牛山さんの出番です。レーザーを星に当てて細かく説明されました。

米軍基地のある山の方向から横倒しのオリオン座が登ります。オリオン座の小三つ星の下に見えるオリオン大星雲のトラペジウムを肉眼で初めて見ました。まさにここから星が生まれているのです。
横倒しのオリオン座”
横倒しのオリオン座:画像をクリックすると拡大
魅力的な星空を堪能すると夜も更けるのが早くなります。機材の撤収を早々に終えたので、皆さんの撤収を待つばかり。ここのトイレは用を済ませた後、自動的に水が出るそうです。男女別のトイレ看板のデザインが良かったので、昼間に撮った画像をお見せします。

トイレの中の様子は、古い場末の駅チカトイレのようなもので掲載できるレベルにありません。虫も物凄くいました。日本から持って来た虫よけスプレーで大半は駆除しましたが・・・
男女別のトイレ看板のデザイン
男女別のトイレ看板のデザイン
(21)ココパームガーデンビーチを後にする

ココパームガーデンビーチには、水分補給にドリンクバーがあります。水とアイスティーはタダでもらえます。水分補給の度にアイスティーを飲んでいました。それほど甘くなく飲みやすかったです。
写真左端に缶ジュースがあります。これはサンプルで、ビーチに来た客に1ドリンク券が渡されます。観測の合間はアイスティーを飲んだので、帰る間際に1ドリンク券でスプライトを飲みました。
ココパームガーデンビーチのバー
ココパームガーデンビーチのバー
帰りはビーチのスタッフが運転する車と、ツアーの付き添いで来た現地の日本人スタッフの車に分乗してホテルに戻ります。

ココパームガーデンビーチで働いている従業員もタモン近辺に住んでいて、ビーチの車で通勤している模様です。このビーチは日本人専用で開発されたらしく、運転手のチャモロ人も片言の日本語をしゃべります。ちょうど一番前の席が空いていたので、そこから進行方向の景色が撮れました。
帰りも穴ボコ道路を進む
帰りも穴ボコ道路を進む
米軍基地が近いので米軍基地を経由する道路はよく整備されていますが、ビーチを行き来する道路は未舗装で穴ボコだらけです。近隣住民の権利関係で、道路は未舗装のままだそうです。

日食撮影は大変疲れるので、ホテルに着いてから3時間後に始まる南十字星観測ツアーには参加しません。南十字星ツアーにはツアー客の半数が参加したそうです。ホテルに戻り、早速シャワーを浴びて疲れを癒しますzzz
タモン市街中心部
タモン市街中心部
管理者に無断での使用・複製・転載・流用禁止
出発編  潜水艦編  タモン編  ビーチ編  金環編  帰国編  戻る