■金環帯の算出 2012.5.21の金環日食は、金環帯の北限界線が陸地の多くで観測されます。金環帯は月縁の平均値から割り出さなければなりません。この値が各サイトによって違っています。 NASAが求めた値は、月縁ギリギリのものです。国立天文台による月縁クレーターの凹凸を考慮した値だと、NASAの値から約4kmほど金環帯の内側に入ったところが完全な金環日食として見られると算出されています。 これは月と太陽の最大接触の際に、金環の輪が途切れずにつながることを意味します。 これが仮に皆既帯だった場合は、ダイヤモンドリング状態のまま日食が継続することを意味します。金環ですので、皆既の逆で月の山に遮られていない光がベイリービーズとなって見られます。 ■北限界線のソース 右画像はYahoo!JAPANニュースから抜粋した京都市北部の地図です。 この画像をペイントを使って拡大し、NASAが制作した地図に拡大比率を合わせた画像が以下に自作した日本各地で見られる金環帯北限界線の詳細です。 京都より西か東に行くと金環帯の角度も若干変化しますので、フリーソフトのGIMPにある回転ツールを使って北限界線を忠実に再現しました。 限界線の上下が若干白く荒れているのは、画像加工した影響があります。なので、画像の著作権は弊サイトにあるものと致します。 ■北限界線で見られるベイリービーズ 右の画像は、2005年4月8日にパナマ西部のPedregalで撮影した金環ベイリービーズです。最大接触がこの状態になるには、月縁を考慮しない北限界線から月縁を考慮した北限界線まで通過する金環帯の中で観測する必要があります。 また、月縁を考慮した北限界線でも若干のベイリービーズが見られるでしょう。その理由は、月の谷の深さがNASAから正確に発表されていないことによります。あらかじめ月の谷の深さを多めに見積もりました。 単にベイリービーズを見るだけなら金環帯の中心線でも第二接触と第三接触の瞬間に見られるのですが、ベイリービーズが数秒続くような条件だとこれらのギリギリ金環帯で見るしかないのです。この金環帯は、便宜上かすり日食(Grazing Eclipse)と呼ばれています。 これは、一部でも全周に見られてもかすり日食と定義されています。もちろん月の地形を考慮した金環帯により近いところでは、短めのベイリービーズが見られます。 北限界線よりも僅かに南側でかすり日食が見られるような地域では、第二接触と第三接触の間がほぼ同じ時刻になります。観測する場所によって、月縁が数秒〜数十秒のベイリービーズとなります。 長めに継続するベイリービーズは、月の地形を考慮しないNASAが算出した金環帯で観測する必要があります。これより北側で観測すると、単なる部分日食となってしまいます。 パナマで観測した金環日食は、金環皆既日食の金環側で撮影したものです 。なので金環が極細となり、金環日食が僅か1秒しか継続しませんでした。この観測の詳細については、パナマ裸眼金環日食・視察編を御覧下さい。 当時は真円で見られる金環を探して、現地で観測地を探し回ったものです。 ■月縁の詳細 下の画像は、NASAから引用したものです。これは2009年7月22日の月縁をあらわしています。 当然ながら2012年5月21日の月縁は、この画像とは違います。NASAで今回の金環日食に関するページを全て見たのですが、どこにも以下のような月縁画像が見当たりませんでした。 |
上のビデオは2005年4月8日にパナマ西部の街、Pedregalで撮影した極細金環日食です。極細金環ですので全周に渡ってベイリービーズが途切れ途切れになるように見えます。 今回の金環日食は、金環中心線で5分も継続する太めの金環なので、北限界線で見られる途切れ途切れのベイリービーズも一部しか見られません。北限界線で観測したら、どのような光景が広がっていることでしょうか? ちなみに撮影の拡大率は部分日食の映像で2000mm相当、金環日食の映像は1000mm〜1200mm相当に拡大して撮っています。2倍のテレコンバーターレンズを付けて撮りました。 撮影機材 SONY DCR-PC1000 レンズ AF35mmに2倍のテレコンバーターレンズを付けて撮影。 |