■観測場所の位置 2012.5.21は香港から米国にかけて金環日食が観測されます。これは日本で一番人口の多い太平洋ベルト地帯に沿って関東に延びるので、日食が見られることを知らずに目にする方も多いでしょう。 金環日食が見られる地域は、南からトカラ列島・屋久島・種子島・鹿児島県・熊本県南部・宮崎県・大分県南部・高知県・愛媛県南部・徳島県・香川県東部・和歌山県・奈良県・兵庫県東南部・大阪府・京都府南部・滋賀県南部・三重県・愛知県・岐阜県南部・静岡県・長野県南部・山梨県・関東全域・福島県東部で金環日食が観測されます。 天候の概要ですが、自宅で気象情報を確認できるので割愛します。5月下旬は梅雨直前の晴れ間が広がっている気圧配置なので、全国的な晴れに恵まれた観測日和になると思われます。 ■前回の金環日食 2012.5.21の前は1994.5.10に米国を横断した金環日食、その前は1976.4.29に大西洋〜トルコを横断してチベット自治区に抜けた金環日食、更にその前は1958.4.19に日本近海を金環日食が通過しました。この時は八丈島と奄美大島で金環日食が観測されたそうです。 この金環日食は北行型で、金環帯が段々北へ伸びるようにシフトしていきます。ちなみに昨年トカラ列島や硫黄島を通過した皆既帯の3サロス前はフィリピンを皆既帯が通過していました。この日食も北行型ですが、1955.6.20の皆既日食はフィリピン西方沖で7分8秒も皆既日食が継続した珍しいものでした。この20世紀中に起こった最大の皆既日食を超える規模は、2150.6.25のハワイ東方沖で起こる7分14秒も継続する皆既日食まで待たなければなりません。 同じ金環帯でも真円の金環が見られるのは、金環の中心線だけです。一番上の地図で言うと、真ん中を走っている青い線となります。これを外すと北限界線や南限界線では真円を外した歪んだ形の金環となり、金環継続時間も1分〜30秒程度しか見られません。ですので、なるべく真円が見られる中心線での観測をお勧めします。なお、それ以外の地域では食分の深い部分日食となります。 3サロス前の金環日食帯は、継続時間が地球上で一番長い正午中心食が台湾北東沖にありました。今回の金環日食帯で正午中心食は、アラスカのアリューシャン列島南方沖です。全体的な金環帯は北へシフトしていますが、たまたま日本は人口の一番多い太平洋ベルト地帯を通過するので数年前から注目される日食となりました。 今回は金環帯の分布から、真円の金環となる時間は都内で朝7時半となります。当日は月曜日の朝ですので、遅い出社の方は是非観測されることをお勧めします。 ■観測地点のデータ 右の写真は2010.1.15に中国青島市内で撮った日没金環日食です。この時は、正午中心食が11分以上継続する規模の大きな金環日食でした。日没金環となった青島では7分程度しか継続しなかったのですが、日没なので肉眼で観測出来ました。 日本横断金環日食は、この程度の規模となります。日の出に近い位置ですが、太陽高度が35°になるので減光フィルターが必要です。一番簡単な確認方法は、木漏れ日で地面に映った太陽像が金環になることです。これは部分日食から確認できるので、減光フィルターを持っていない方々にお勧めです。または盥に墨汁を垂らした水を見ても同様に太陽の欠け具合が安心して確認できます。 以下、金環帯周辺の観測地DATAです。なおJTとは、日本時間のことです。地図に書かれているUTとは世界時間なので、UT+9時間で日本時間となります。 最初に東京の地下鉄辰巳駅前を観測地に挙げましたが、ここは交通の便が良いのと駅から100m歩くと金環中心線が通過しているので観測地に選定しました。真円でなければ、太平洋ベルト地帯にお住まいの方でしたら御自宅で観測可能です。観測地はあくまでも目安として捉えて下さい。 辰巳以降の金環日食DATAは、南から東へ紹介致します。 東京・辰巳駅前 35° 38' 50.0" N △T=67.6s 139° 48' 30.5" E Magnitude at mid eclipse : 0.96953% (食分) Moon/Sun size ratio : 0.93933 total solar eclipse : 5m 4.7s Event Date Time (JT) Alt Event 太陽の状態または欠け具合 (C1) : 2012/05/21 06:19:01.3 +19.8° Time (UT) UTとは世界時間。現地時間はUTから 9時間足す (C2) : 2012/05/21 07:31:59.3 +34.5° Alt 太陽高度 (MAX) : 2012/05/21 07:34:31.6 +35.1° Moon/Sun size ratioとは、月に隠された太陽の比率を言う (C3) : 2012/05/21 07:37:04.0 +35.6° △T 太陽と月の日周運動に対する運動量の割合 (C4) : 2012/05/21 09:02:42.3 +52.8° △Tについては、こちらで説明しています。 ■日本各地のデータ ■各天体の位置と高度 2012年5月21日 7時34分0秒 (現地時間) 北緯35度38分50秒 東経139度48分30秒 東京・辰巳駅前で観測した場合 金星 Venus 光度:-4.4等 視直径:51.1" 輝面比:0.08 赤経:05h29m52.4s 赤緯:+26°38'29" (J2000) 赤経:05h26m45.5s 赤緯:+26°36'11" (B1950) 赤経:05h30m38.4s 赤緯:+26°38'58" (視位置) 黄経: 83°25'59" 黄緯:+03°22'48" 銀経:180°04'26" 銀緯:-04°09'36" 方位:249.854° 高度: 18.328° 出05:47 南中13:14 没20:42 地心距離:0.32660AU 日心距離:0.72400AU 太陽 Sun 月 Moon 赤経:03h51m45.7s 赤緯:+20°10'20" 月齢:29.6 視直径:29.7' 輝面比:0.00 赤経:03h48m51.3s 赤緯:+20°01'22" 赤経:03h51m45.5s 赤緯:+20°10'09" (J2000) 赤経:03h52m28.6s 赤緯:+20°12'27" 赤経:03h48m51.1s 赤緯:+20°01'12" (B1950) 黄経: 60°17'21" 黄緯:-00°00'05" 赤経:03h52m28.4s 赤緯:+20°12'16" (視位置) 銀経:170°25'37" 銀緯:-25°37'33" 黄経: 60°17'16" 黄緯:-00°00'15" 方位:268.723° 高度: 34.574° 銀経:170°25'43" 銀緯:-25°37'42" 出04:30 南中11:37 没18:45 食分:0.96 方位:268.726° 高度: 34.573° 地心距離:1.01212 AU 出04:27 南中11:43 没19:01 地心距離:40.58万km 水星 Mercury 木星 Jupiter 光度:-1.5等 視直径:5.2" 輝面比:0.95 光度:-2.0等 視直径:32.8" 輝面比:1.00 赤経:03h20m14.7s 赤緯:+17°43'52" 赤経:03h30m24.1s 赤緯:+18°11'18" (J2000) 赤経:03h17m24.8s 赤緯:+17°33'04" 赤経:03h27m33.1s 赤緯:+18°01'04" (B1950) 赤経:03h20m56.6s 赤緯:+17°46'27" 赤経:03h31m06.2s 赤緯:+18°13'44" (視位置) 黄経: 52°28'28" 黄緯:-00°38'01" 黄経: 54°55'40" 黄緯:-00°47'27" 銀経:165°57'31" 銀緯:-32°25'32" 銀経:167°45'53" 銀緯:-30°30'35" 方位:276.148° 高度: 39.717° 方位:274.024° 高度: 37.901° 出04:08 南中11:06 没18:06 出04:18 南中11:16 没18:14 地心距離:1.29969AU 日心距離:0.32757AU 地心距離:6.00753AU 日心距離:5.00087 AU |