皆既日食撮影標準露出表

F値←低感度 フィルムの感度(ISO−ASA) 高感度→
F 2.5ISO −ISO −ISO −ISO −ISO −ISO − 撮影レンズの明暗
F 4 2550100200
F 5.6 2550100200400
F 8 2550100200400800
F 11 501002004008001600
F 16 10020040080016003200
F 22 20040080016003200
ダイヤモンドリング
プロミネンスの撮影
1/125
1/60
1/250
1/125
1/500
1/250
1/1000
1/500
1/2000
1/1000
1/4000
1/2000
ダイヤモンドリング
内部コロナ撮影
プロミネンスはっきり)
1/60
1/30
1/125
1/60
1/250
1/125
1/500
1/250
1/1000
1/500
1/2000
1/1000
内部コロナ
中間的な長さの
コロナ撮影
1/15
1/8
1/4
1/30
1/15
1/8
1/60
1/30
1/15
1/125
1/60
1/30
1/250
1/125
1/60
1/500
1/250
1/125
中間型コロナ
大きく広がった
外部コロナ撮影
1秒以上 1/2
1
2
1/4
1/2
1
1/8
1/4
1/2
1/15
1/8
1/4
1/30
1/15
1/8
外部コロナ
部分日食または
金環日食の撮影
D4(ND10000)フィルター
をつけて1/250〜1/2000秒程度
D4(ND10000)フィルター
をつけて 1/500〜1/4000秒程度
部分日食

  • 表の見方は、望遠鏡による撮影もカメラレンズによる撮影も同じです。
  • 固定撮影でも撮影可能ですが、赤道儀を使って撮るともっと綺麗に映ります。
  • シャッタースピードはレンズの長さではなく、明るさとFILMの感度で変わってきます。
  • 曇ったり地平線の近くで皆既日食が起こると、表よりシャッタースピードが落ちます。
  • 部分日食でも食分50%までは早めのシャッターが有効ですが、食分70%以上になると遅めのシャッタースピードが有効です。(露出が伸びる)
  • 撮影レンズ(望遠鏡)にテレコンバーターをつけると大きく映りますが、レンズが暗くなるので露出が伸びます。(1.4倍用で1段、2倍用で2段F値が下がる)
撮影のポイント

露出を長くすればコロナは長く、逆に切り詰めると短いコロナが映ります。薄雲がかかったりすると、表より露出が伸びます。また、風が強いと長い露出ではプレる事があります。そのためには上の表を目安に何段階かシャッタースピードを変えて撮ると良いでしょう。

皆既日食はとても神秘的な現象で、感受性の強い方は泣き出してしまう事もあります。その為にも緊張してミスをしないよう、事前に練習しておきましょう。ピントと絞りを決めたら、リングをセロテープなどで留めておくと、不用意に動かないので安全です。あわてないで太陽を真ん中に入れて映しましょう。

写真ばかり撮らないで、肉眼でも見てください。写真で見るのと、肉眼で見る皆既日食の印象は全く違います。立って撮影すると疲れます。折りたたみ椅子も持って行きましょう。

無用のトラブルを避けるため、FILMはネガを使った方が無難です。なるべくF値が明るいレンズで、FILMの感度も低い方がきれいに撮れます。撮影中は興奮するので撮り過ぎてしまいFILMを切らしてしまいます。皆既中にFILMを交換しなくても済むように24枚撮りよりも36枚撮りの方が日食の最後まで撮れます。撮影計画も事前に立てておきましょう。天頂に近いところで起こる日食もあります。アングルファインダーを用意して、楽な姿勢で観測しましょう。

失敗しない撮影方法
カメラのミラー一眼レフで特に注意しなければならないことがあります。シャッターを押す際にミラーが跳ね上がってまた閉じるのですが、この跳ね上がりの衝撃が低速シャッターに思わぬ被害を被ります。500mm以上で長焦点の露出は、1/30秒〜1/60秒までの時間が最もミラーアップの衝撃による影響を受けやすいのです。せっかくピントがあってもミラーアップによる衝撃でブレた写真になってしまっては元も子もありません。私はそうした無用の失敗を防ぐためにISO感度の高いFILMを使っています。

ミラーアップによる衝撃を示す模式図ミラーアップによる衝撃を示す模式図があります。衝撃波が発生するシャッターを押した直後から@のように1/4000秒や1/2000秒の早い速度だとあまりブレません。Aのように1/60秒〜1/30秒が一番ブレの影響を受けます。Bは1/2〜1秒の露出ですが、ブレの影響が少なくなります。Cのように完全にブレが収まった状態で手動シャッターを切ると全くブレがない写真となります。これは筒先開閉法と言うやり方で、星雲・星団等の撮影によく使われます。

シャッター羽根の開閉
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