日食の原理について

1999年8月11日の皆既日食中の気温変化日食は、太陽と月が重なって約2〜3分の間、暗闇に包まれる現象です。気温も日中に比べて10℃ほど下かります。地球上のどこかで皆既日食は1〜2年に1回の割合で起こります。私は民間のツアーに参加して、確実に晴れて見られる場所を選択します。雲に隠されたら空こそ暗くなりますが、感動は得られません。私は9回観測して9回とも晴れて見られました。

日食全体の現象は、太陽と月が最初に接した部分日食から始まり、両者が完全に重なる皆既が数分続き、太陽と月が最後に接した部分日食が終わって全現象が終わります。この間は約3時間続きますが、ほとんど欠けた太陽しか見られません。実際に観測すると、気温がだんだん下がるのが肌で感じられて三日月のように細くなった太陽が見られます。この頃になると、冷たい風が吹き始めて空が青く濃くなっていきます。更に太陽が欠けると、金星や水星など地球よりも内側を巡る惑星がそばに見られます。太陽が月に隠される瞬間に、ダイヤモンドリングという月のクレーターの谷間から最後の太陽の光が漏れて皆既日食が始まります。感受性の強い方は、あまりにもドラマチックな現象で感動の涙を流すほどです。また地平線が360°に渡って夕焼けの状態が見られます。

1995年10月24日の皆既日食皆既日食は、ただ昼が夜になるだけではありません。望遠鏡か双眼鏡を持っていくと良く分かるのですが、コロナという真珠色をした流れが見られます。更に太陽の縁からは、プロミネンスという赤い羽毛のようなものが見られます。これは太陽の二つの黒点から出たもので、黒点同士を結ぶ磁力線から出たものです。このコロナプロミネンスも皆既日食の時にしか見られません。幸い現在の太陽と月の見かけの大きさは、5円玉と同じ位でほぼ同じです。月が太陽よりわずかに大きいと皆既日食。その逆は金環日食と言って、輪ゴムのような細い太陽のリングが見られます。金環はコロナダイヤモンドリングが見られないので、私はもっぱら皆既日食を追いかけ続けています。

なぜ皆既と金環の2種類が見られるのかと言うと、まず月は一ヶ月に1回みかけの大きさが変化します。太陽は1月上旬に地球から近くなる近日点、7月上旬は最も地球から遠ざかる遠日点を迎えます。理論上では7月に月が大きく、太陽が遠くなった時に日食が起こると、6分近く皆既日食が見られます。また、1月頃に月が小さい状態で太陽の見かけの大きさが大きい状態で日食が起こると、11分も継続する金環日食が見られます。これはまさに月の日面通過と言えるもので、竹輪のような太陽が見られます。

ところで新月の時にいつも日食が見られるわけではありません。それは、太陽と月の通り道が約5°ずれていることによります。太陽の通り道は黄道(こうどう)で、月の通り道は白道(はくどう)と言います。昼間、太陽と新月がちょうど通り道に交差している時に限って、日食が見られるのです。
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