![]() 日食全体の現象は、太陽と月が最初に接した部分日食から始まり、両者が完全に重なる皆既が数分続き、太陽と月が最後に接した部分日食が終わって全現象が終わります。この間は約3時間続きますが、ほとんど欠けた太陽しか見られません。実際に観測すると、気温がだんだん下がるのが肌で感じられて三日月のように細くなった太陽が見られます。この頃になると、冷たい風が吹き始めて空が青く濃くなっていきます。更に太陽が欠けると、金星や水星など地球よりも内側を巡る惑星がそばに見られます。太陽が月に隠される瞬間に、ダイヤモンドリングという月のクレーターの谷間から最後の太陽の光が漏れて皆既日食が始まります。感受性の強い方は、あまりにもドラマチックな現象で感動の涙を流すほどです。また地平線が360°に渡って夕焼けの状態が見られます。 ![]() なぜ皆既と金環の2種類が見られるのかと言うと、まず月は一ヶ月に1回みかけの大きさが変化します。太陽は1月上旬に地球から近くなる近日点、7月上旬は最も地球から遠ざかる遠日点を迎えます。理論上では7月に月が大きく、太陽が遠くなった時に日食が起こると、6分近く皆既日食が見られます。また、1月頃に月が小さい状態で太陽の見かけの大きさが大きい状態で日食が起こると、11分も継続する金環日食が見られます。これはまさに月の日面通過と言えるもので、竹輪のような太陽が見られます。 ところで新月の時にいつも日食が見られるわけではありません。それは、太陽と月の通り道が約5°ずれていることによります。太陽の通り道は黄道(こうどう)で、月の通り道は白道(はくどう)と言います。昼間、太陽と新月がちょうど通り道に交差している時に限って、日食が見られるのです。 |