■観測場所の天候 この皆既日食帯は2019年7月2日に南太平洋を横断します。 前回のサロスは、2001年6月21日にアフリカ南部を横断する皆既日食が見られました。 皆既帯の最初は、南太平洋上からピトケアン諸島のオエノ島を通過してチリ中部とアルゼンチン中部を通過して首都ブエノスアイレスの南方郊外で日没となります。 皆既帯付近で一番晴れやすい地域は、チリ中部とアルゼンチン中部の山岳地帯あたり。 ブエノスアイレスに近づくにつれて晴天率は悪くなり、首都ブエノスアイレスの南方郊外ではコロナのまま日没を迎えます。 この日食は南半球の冬の季節にあたりますが、亜熱帯に相当する緯度を通過する皆既帯は南緯30度に沿って常に伸びる高気圧に覆われています。チリの海岸付近は砂漠のように雨が降りにくい気候なので、一般的に行きづらいピトケアン諸島のオエノ島より数多くの日食ハンターが訪れることでしょう。 ■ピトケアン諸島の地理 イギリス海外領土のピトケアンは、太平洋の中にポツンと存在します。正式名称は ピトケアン・ヘンダーソン・デュシー及びオエノ諸島。 1767年、イギリス軍艦「スワロー」の士官候補生ロバート・ピトケアンが発見しました。この島の周囲300kmには、他に人の住んでいる島がありません。この絶海の孤島に人が住み着くようになったのは、映画でも有名な「バウンティ号の反乱」がきっかけ。現在ピトケアン島に住んでいるのは、この反乱に参加した水兵の子孫達です。 かつてはイギリスの植民地であったこの国で話される言語は、英語とタヒチ語のミックス。とても小さい国です。この国を訪れるときの注意点は、ダンスやお酒を飲むことを強く禁止する文化が根付いており、娯楽施設と呼べるものはバーとカフェが一つずつあるのみ。 島の周囲は断崖絶壁に取り囲まれて荒波が島を叩き寄せているため、岩がごろごろしている浜がほとんど。そのため大型の船が島へ接岸するのは難しいです。 ■オエノ島の地理 オエノ島(Oeno Island)は、南太平洋にあるイギリス海外領土のピトケアン諸島に属する島。ピトケアン島から北西143kmにある面積約2km2の無人のサンゴ環礁の島で、サンディ島と共にオエノ珊瑚環礁を形成しています。 このように陸地から離れて環状に形成されたサンゴ礁を「堡礁(ほしょう)」と呼びます。この島もいずれ中央部分が完全に海面下に沈み、環礁へと変化していくと考えられます。 気候は亜熱帯海洋性で、7月から12月は雨季。夏季は20-30度と温暖ですが、冬季には12度まで気温が下がることもあります。 オエノ島には何名か上陸したそうですが、亜熱帯性の気候で森林とパンの木とヤシの木々が自生しています。 お風呂のシャワーや衣類、食器を洗うための淡水は、砂の中の井戸から汲み出され、タンクに送られます。水位は潮の動きの影響を受けます。 ■オエノ島の渡航方法 英領ピトケアン諸島へ行くには、ニュージーランドのオークランドから貨物船に乗って行く方法が一番安く行けます。但し一週間近く日数が掛かるのと、いつ出航するのかが問題になります。また貨物船はオークランドからピトケアン諸島を通過して米国を往復する定期便で、約一ヶ月の日程的な余裕が必要です。 事前にニュージーランド・オークランド市内の英国領事館にある高等弁務官事務所で、ピトケアン諸島委員長の事前許可を受けてピトケアンへ行く手続きと許可をもらう必要があります。 有人島のマンガレバ島まで航空路が発達しています。そこからチャーター船を借りて約400kmの船旅をしなければピトケアン諸島に着きません。 ■オエノ島のDATA Oeno Island DATA 23° 55´ 24.2" S △T=71.3s 130° 44´ 23.8" W Magnitude at mid eclipse : 1.00963% Moon/Sun size ratio : 1.04133 total solar eclipse : 2m 55.2s Event Date Time (UTC-8) Alt Partial (C1) : 2019/07/02 09:06:07.8 +18.7° 0.00% (C2) : 2019/07/02 10:23:56.5 +31.6° 100.00% (MAX) : 2019/07/02 10:25:23.8 +31.8° 100.96% (C3) : 2019/07/02 11:56:27.0 +32.0° 100.00% (C4) : 2019/07/02 11:36:07.1 +41.5° 0.00%DATAの見方ですが、ここでの皆既日食継続時間は2分55秒間見られます。 皆既時の太陽高度は32度です。腕を軽く上に上げるとその先が太陽のある位置になります。 オエノ島の現地時間では、2019年7月2日の午前10時半少し前にコロナが見られます。 |