■観測場所の天候とホテル この日食は南半球の冬にあたりますが、亜熱帯に相当する緯度を通過する皆既帯は南緯30度に沿って常に伸びる高気圧に覆われています。チリの海岸付近は砂漠のように雨が降りにくい気候です。 チリの雨雲ズームレーダー のリンク先では ラ・セレナが観測中心点になっていますが、 少しズームアウトをすると皆既帯が通過する地域の雨雲予報を3時間先まで確認することが出来ます。 チリを通過する皆既帯は、ラ・セレナとコキンボの都市圏を中心にホテルが海岸沿いに並んでいます。多少、皆既時間が短くなってもチリの西海岸に沈む日食は価値のあるものとなるでしょう。 一方、皆既帯中心に近いラ・ヒゲラ周辺にホテルは無く、北西の海岸にホテルが点在しているだけです。ラ・ヒゲラの北西海岸で観測するとレンタカーが必要になります。この辺りの皆既継続時間は2分30秒です。ラ・セレナ市街は2分ちょうどの継続時間ですが、ラ・セレナ空港から近く交通の便も発達しているので格安旅行に向いています。この記事はラ・セレナ皆既日食のちょうど一年前に書かれたものですが、現時点で海岸沿いのホテルに少し空きがあるそうです。 ■ラ・セレナの地理 ラ・セレーナ(La Serena)は、チリ中部コキンボ州の都市で同州の州都。首都サンティアゴの北方約470kmにあります。観光地として発達しており、チリ国内とアルゼンチンからも観光客が訪れます。チリで二番目に古い町として知られ、チリで最も経済発展の盛んな地域であり、1992年から2002年の間に32.6%の人口増加がみられました。人口は2010年現在16万148人。 ペドロ・デ・バルディビア(Pedro de Valdivia)の命により現在のチリの首都サンティアゴと現在のペルーの首都リマを結ぶ中継港として1544年9月4日にスペイン人のフアン・ボーン総督(Captain Juan Bohon)によって建設されました。1549年に地元のインディアンに都市は破壊されたが、同じ都市にフランシスコ・デ・アギレ総督(Captain Francisco de Aguirre)がより安全な現在の場所に再建しました。 ラ・セレナは多数の天文学のオフィスがあることでも知られます。 ESO(ヨーロッパ南天天文台):ラ・シヤ天文台オフィス NOAO(アメリカ国立光学天文台): CTIO(セロ・トロロ汎米天文台)オフィス AURA:ジェミニ天文台オフィス 但し、天文台近辺のホテルなどは予約で全て埋まっているそうです。
■ラ・セレナの気候 ラ・セレナの気候はケッペンの気候区分によると、年平均気温が18℃未満なのでBWk(温帯砂漠気候)に属します。皆既日食が見られる7月は冬季になりますが、最高気温が15度で最低気温が8度までしか上がりません。晩秋の首都圏のような気候となるので、ジャケットを着るなどして寒さ対策が必要となります。 この7月は雨期にあたります。それでも年平均降水量は31mmしかなく、傘を持つ心配がいらない気候と言えます。意外と湿度は高く、曇られると90%台になります。一年前(2018年)の気候では、晴れところにより曇りの予報が一週間のうち5日間ありました。 ラ・セレナの皆既日食は午後4時半過ぎに見られるので、晴れところにより曇りの予報だと皆既時の太陽高度が13度しかない状況では地平線の雲による影響を受けやすくなります。そのリスクを避けるためにアンデス山脈にある天文台近くの宿を目指すヒトが多いのですが、前述の通りホテルは軒並み満室となっています。 海外では皆既日食ツアーが大人気で、ツアー会社による宿の争奪戦が激しいです。恐らく全ての宿が海外の皆既日食ツアーで埋められたものと思われます。 ■ラ・セレナの観測地 Faro Monumental DATA 29° 54´ 19.1" S △T=69.6s 71° 16´ 26.8" W Magnitude at mid eclipse : 1.00890% Moon/Sun size ratio : 1.03692 total solar eclipse : 2m 13.4s Event Date Time (UTC-4) Alt Partial (C1) : 2019/07/02 15:22:31.7 +25.5° 0.00% (C2) : 2019/07/02 16:38:13.1 +13.7° 100.00% (MAX) : 2019/07/02 16:39:20.0 +13.5° 100.89% (C3) : 2019/07/02 16:40:26.5 +13.3° 100.00% (C4) : 2019/07/02 17:46:35.6 +01.2° 0.00% Sunset: 2019/07/02 17:54:00.0 -00.2° 0.00% ラ・セレナの観測地で最適な場所が、海岸沿いにあるFaro Monumentalと言う記念碑でしょう。太陽が沈む西海岸で皆既日食となるので、当日は大勢の現地人が集まるに違いありません。記念碑の皆既継続時間は2分13秒です。 不定期で、この記念碑の前でイベントも行われているようです。南米の方々は音楽を奏でるのが非常に好きなので、コロナを見ている時でも現地の音楽が聞こえてくるかも知れません。 この記念碑の行き方は非常に簡単で、ラ・セレナの空港から10kmほど西にフランシスコ・アギーレ通りを直進すると辿り着きます。Faro Monumental記念碑は、入場が自由です。この写真は、Google Earthより拝借しました。 |
■ラ・イゲラ(エル・オリーボ)の観測地
El Olivo DATA 29° 29´ 32.0" S △T=69.6s 71° 19´ 22.6" W Magnitude at mid eclipse : 1.01842% Moon/Sun size ratio : 1.03700 total solar eclipse : 2m 36.3s Event Date Time (UTC-4) Alt Partial (C1) : 2019/07/02 15:22:41.1 +25.9° 0.00% (C2) : 2019/07/02 16:38:16.7 +14.0° 100.00% (MAX) : 2019/07/02 16:39:35.1 +13.7° 101.84% (C3) : 2019/07/02 16:40:53.1 +13.5° 100.00% (C4) : 2019/07/02 17:46:52.3 +01.3° 0.00% Sunset: 2019/07/02 17:56:00.0 -00.3° 0.00% ラ・イゲラの観測地で最適な場所が、海岸沿いにあるEl Olivoと言う集落にある海岸線でしょう。太陽が沈む西海岸で皆既日食となるので、当日は大勢の現地人が集まるに違いありません。エル・オリーボの皆既継続時間は2分36秒です。 上の写真はエル・オリーボの北東にあるPlaya Tembladorと言うビーチ リゾートを南方に向けて撮ったもので、下の写真は北方に向けて撮ったものです。北方の海岸から見える山の凹んだ部分付近でコロナが見られます。この写真は、Google Earthより拝借しました。 |