Keietsu Sayama
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(2)ジカ熱の懸念 皆既帯が通過するインドネシア全域でジカウィルスによるジカ熱が発生しています。人口希薄地帯である山岳地域には症例がほとんどないことから、観測地全域でジカ熱の発生が懸念されます。 ジカ熱はジカウイルス(Zika virus)がネッタイシマカによって媒介され発症し、病態はデング熱に類似します。ジカ熱に対する特異的治療はなく、対症療法しかありません。デング熱と比較すると軽症で治ります。発症を防ぐワクチンや治療薬はなく、蚊取り線香や蚊帳などで蚊さされを防ぐことが唯一の感染対策です。 |
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ジカ熱の潜伏期間は3〜12日ほど。感染率は約80%。2007年のミクロネシア連邦(ヤップ島)の流行では、発熱(38.5℃を超える高熱は比較的稀)、斑状丘疹性発疹、関節痛・関節炎、結膜充血が半数以上の症例に認められ、筋肉痛・頭痛(45%)、後眼窩痛(39%)でした。その他にめまい、下痢、腹痛、嘔吐、便秘、食欲不振などをきたす場合もあります。 ポリネシアやブラジルでは、ギラン・バレー症候群や神経症状を認める症例が報告され、ブラジルでは妊婦がジカウイルスに感染することで胎児が感染し、小頭症児が多発しています。胎児が小頭症と確認された妊婦の羊水からジカウイルスRNAが検出され、小頭症で死亡した新生児の脳の病理組織からもウイルスが検出。ジカ熱そのもので健康な成人が死に至ることは稀ですが、基礎疾患があり免疫力が低下している場合は死に至ることもあるそうです。 |
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ジカ熱はデング熱と比べて軽症で、通常は4〜7日間症状が持続します。痛みや発熱に対して解熱鎮痛剤を投与する程度にとどまることがほとんど。脱水症状が強い場合は輸液も実施します。予防に関しては、日中に蚊(ヤブカ)に刺されない工夫が必要です。具体的には、長袖服・長ズボンの着用、昆虫忌避剤の使用など。妊婦あるいは妊娠の可能性のある女性は、ジカ熱流行地への渡航を避けることが望ましい。 |
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普段から湿度の高い夏は汗っかきなので非常に蚊に刺されやすい体質の私は、日本から蚊取り線香皿2つと蚊取り線香と虫よけスプレーを持参して蚊に刺されないよう万全の態勢を敷きました。 ザンビア皆既日食の紀行文では詳しく書かなかったのですが、観測当時は敷いたゴザの上に2種類の蚊取り線香と虫よけスプレーで結界を張ってホテルから借りた椅子に座って観測していました。現地では冬至のため虫は、ほとんど発生していなかったようです。世界的にジカ熱に晒されていることが多い熱帯地域なので、虫刺されの予防は万全にした方が良いのです。 |