テルナテ島皆既日食・モスク編

Keietsu Sayama

モスクの入口
モスクの入口

(24)朝はモスクで

今朝もコーランの大音量で一度目覚めましたが、今日は遅い出発なので二度寝しました。テルナテ空港発が16:50なので遅く起きても大丈夫。起きてから日本まで風呂に入れないので、シャワーを浴びて洗髪と身体を洗ってから朝食に行きました。それでもチェックアウトが朝10時なので、朝食は8時頃に取りました。

朝食を取りに行こうと準備している時にドアの外からコンコンと音がして行ってみると、井上さんが今朝テルナテで発行された新聞を持って来て下さいました。

「早くしないと新聞がなくなるよ…」
「ありがとうございます。新聞はお幾らですか?」
「ロビーに行けばタダでくれるよ。」
「もう少ししたら出ます…」

このようなやり取りがあって朝食の前にロビーに置いてあった新聞をもらいました。この時だけ朝食の写真を撮りそこないました。昨夜のメンバーで紅一点の沖田さんがいたので、隣で食事を取りました。

なぜかモスクに行く話になり、朝8時半にロビーで集まることに。すると井上さんも居て別の女性と郵便局へハガキを出しに行くそうです。これまでモスクの中を見ていなかったので、モスクに行くことにしました。
モスクの入口を内側から撮る
モスクの入口を内側から撮る
相変わらずテルナテは暑いです。今日は昨日よりも晴れていて、とても日差しが強かったです。ホテルを出てからビデオカメラを取り出して撮影しようとしたところ、真っ暗で何も映らなかったです。どうしても動画を撮影できないので、ガラケーのカメラでモスクを撮りました。

想定外のショックです。多分昨日の皆既日食で予定より早めに減光フィルターを外して、皆既終了後も2分近くそのままにしたのが影響したのだと思います。
モスクの天井
モスクの天井
そのおかげで第三接触のダイヤモンドリング終了後も巨大プロミネンスの映像が撮れましたが、その代償は大きかったです。その後の観光は、全て写真だけで撮るしかなくなりました。

帰国後もビデオカメラの撮影ができないので2005年に買った古い機種と言うこともあり、オークションで同型機を競り落としました。15,000円近くの出費ですが、修理に出せば20,000円近くも掛かるし生産終了品なので買った方が安くつきます。
モスクの床
モスクの床
動画が撮影出来ないショックがあっても表情には出せません。その場その場を楽しまないと、旅に来ている意味がなくなります。ホテルの斜め向かいにあるモスクはキレイな作りでした。建物自体が芸術そのもので、この地に良く似合っている印象があります。

遠目に見るとモスクの女性がモップで床を拭いています。手をついてお祈りするので、モスクの床は綺麗にしなくてはいけません。モスクの入口が2階につながっていたので1階を見下ろすような角度になりました。
モスクの壁
モスクの壁
モスクの内部は意外と涼しくて沖田さんも寝そべっていました。こちらもモファラ〜としてきて横になろうとしたときに日食界では重鎮の塩田さんが来られました。

塩田さんとお会いするのはこのツアーが初めてですが、天文ガイドに1997.3.9にシベリアの荒野で撮影した皆既中の本影錐の移動の写真にリクエストがあり、再び天文ガイドに掲載された縁で年賀状をやり取りしていました。その写真は、塩田さんの解説記事の一コマに使われました。その節は大変お世話になりました。
モスクの柱
モスクの柱
塩田さんと沖田さんと世間話をしている合間に正面から見たモスクの入口兼出口のシルエットが美しかったので内側から撮りました。露出が外の景色に合ってしまったので、モスクの内側が暗くなっています。逆にシュールに見えて美しい写真だと思います。

モスクの床を見ていると、イスラム教の信者がたった一人でお祈りしています。それに気づいた時は、手を床に着けてお祈りした直後だったために座ってお祈りしている写真しか撮れなかったです。
モスクのお祈り
モスクのお祈り
その後モスクの入口を内側から撮ったり、様々な角度から印象に残るものを撮りました。モスク天井の装飾は、とても綺麗で美しかったです。

2006.3.29のアフリカ・リビア皆既日食ツアーで乗り継ぎで立ち寄ったドバイ空港のトイレに入ろうとしたら、こじんまりとしたモスクでした。空港内にモスクがあったのを知らず、慌てて立ち去ったことがあります。これが人生初のモスク見学でした。向かいの2階では、相変わらずモスクの女性がモップで床を拭いています。
モスクのお祈り
モスクのお祈りを拡大
その後、モスクを出ました。モスクの前の海は、岸辺にゴミが浮いていて殺風景です。昨日の日本村では日本語学校の生徒が我々が観測する前に丁寧にゴミ拾いをしたので、海はおろか海岸にもゴミが無くて綺麗な海でした。沖は青々とした海でしたが、目の前がこれでは興ざめします。

テルナテ島の川もゴミだらけでした。こうしたインフラを整備しないと、せっかく美しい海と風光明媚な山があるのに観光に生かせなくて非常に勿体ないです。
モスク前の海
モスク前の海
モスク前の広場は閑散としていましたが、タイルが床に整然と敷かれていて綺麗でした。これから日が昇っていく時間帯なので暑かったです。

モスクの入口はいくつかあったようですが、正面横の2階へつながる入口に入ったようです。モスクの1階の一部は学校のような教室があって、生徒たちが先生の授業を聞いていました。教室の脇に小窓があって、そこから覗いた光景です。必要以上に覗くと授業の妨げになるので、一瞬見てから退散しました。
モスク前の広場
モスク前の広場

キャシロンCM 1978年

(25)丁子の生産地

モスクの観光を終えて、すぐバス移動が始まりました。昼までテルナテ島を一周する観光です。恐らくホテルをチェックアウトしてからテルナテ空港を出る時間が長いので、その埋め合わせなのでしょう。

テルナテ島は丁子の数少ない産地として知られ、ヨーロッパ人が到達する以前から中国人やマレー人の商人が訪れて丁子貿易で栄えた島でした。

チョウジノキは熱帯多雨原産の中高木であり常緑樹。種子から発芽し20年で10メートルほどの高さに成長します。作物としてのクローブ(丁子)は7-8年目頃から収穫が可能です。丁子は熱帯多雨の地域が原産でり、温室で十分に管理すれば栽培は可能ですが、露地植えでの商業栽培に適する地域は限られます。

7月から9月と1月から2月つぼみを付け、年2回収穫をします。花弁は本木の高い場所になるため、かつては高い作業櫓を建てて手摘みをしていました。これが商品の価格の高さにも反映します。現在では枝や葉からもクローブオイルが抽出できるため、作業者が直接クローブの木にのぼり枝ごと切り落とします。
丁子とナツメグのパック詰め
丁子とナツメグのパック詰め
テルナテ島の中部にある遺跡の脇で丁子がパックで詰められたものが売っていました。暑かったので避暑になった店の前で撮った写真です。幾らか分からなかったのですが、買えば袋も付くので衛生的でした。

道中は熱帯地方らしく椰子の木が目立ちました。山道はバスのスピードが速かったので、車窓から映すタイミングが難しかったです。一軒家の多い住宅地では、丁子の栽培をしているようでした。1978年に放送されていたTBS系列のアップダウンクイズでキャシロンのCMがありましたが、バスの中でその場面を思い出していました。同じ国でも違う島のロケだったようです。
椰子の木
椰子の木
椰子の木が群生している地域を抜けてしばらくすると、テルナテ島北部の島を見られる海岸と公園がありました。なんて言う島か分からないのですが、Google地図で見るとPulau Hiliと書かれていました。

今回の皆既日食は南へ行けば行くほど継続時間の長くなる皆既帯だったのですが、もし北へ行けば行くほど継続時間の長くなる皆既日食なら、ここが良いロケーションになっていたでしょう。人口も希薄でギャラリーも少なかったに違いありません。人口が少ないので島影も海岸線も綺麗です。波も穏やかでした。
バイキングで出された料理が並ぶ
Pulau Hili
赤道直下ですから相変わらず日差しが強くて暑いのですが、海風が吹いているので心地いい気がします。海岸の手前に椅子と日よけがあって、くつろげる作りになっています。ここでしばらく自由時間となるので、綺麗な海岸線を見物に行かれる方が数名いました。

暑がりの私は日よけで過ごしていましたが、ツアーのガイドさんが2人で重いクーラーボックスを持って来てくれました。中には氷が入ったファンタやコーラなどが入っています。ミネラルウオーターが入っていれば一番良かったのですが、 ファンタをいただきました。
海岸の椅子と日よけ
海岸の椅子と日よけ

英語を話すガイドさんを公園のトイレの前で撮影
英語を話すガイドさんを公園のトイレの前で撮影

(26)路上での丁子干し

トイレが近い人は公園のトイレまで行けるとのことで、早速用を足しに行きました。いつもバスの前で英語で案内してくれるガイドさんが鍵が掛かっていないドアを閉めるために立っていたので、美しい姿を撮りたくて空気を読まずに撮ってしまいました。嫌な顔をせずに応対してくれて嬉しかったです。

その後、バスは島の反対側へ移動しました。島の西北部は集落もまばらでしたが、路上で丁子を干していました。バスを止めて付近を歩いて民家の丁子干しをしている現場に向かいます。あまり車の往来が無いせいか、干している周りを石で囲っているせいか分かりませんが、綺麗な状態で干されていました。

スパイスのクローブ(丁子)はクローブの開花前のつぼみを乾燥させたもの。収穫したつぼみを乾燥させると、すぐ黒くなります。非常に強い香気をもっていて、インドネシアにはクローブ入りのタバコもあります。

クローブは胡椒と同様に肉の臭みを消す働きがあるのでヨーロッパで珍重されました。インドや中国では、紀元前から殺菌・消毒剤に使われていたそうです。
路上での丁子干し
路上での丁子干し
バスが止まっている反対側から道路を撮りました。後で日本語が出来るガイドさんに路上で出ている旗の意味を聞いたところ、特に意味はないとのこと。インドネシアの正月を祝って旗を出しているらしいです。

筆者の田舎は青森県弘前市ですが、旅行で下北半島の西海岸へ行ったとき、駐車場にひじきを干しているのを知らず、バックで車を止めようとして周りの人から「アー」と言われたことを思い出しました。謝ろうと車を降りようとしたら、そのまま行っていいとのこと。ひじきの一部は、車の轍になっていました。田舎ではどこも路上で干す文化があるようです。
テルナテ島北部の一般道路
テルナテ島北部の一般道路
ナツメグはナツメグの種子を乾燥させたもの。樹高は10-20mにもなり、種まきから収穫まで7年ほどかかります。果実は杏に似た卵型で、成熟すると果皮が割れて網目状の赤い仮種皮につつまれた暗褐色の種子が現れます。和名は、ニクズクと言います。

この種子をムシロの上で乾燥します。スパイスとしては、仮種皮の部分だけを集めたものがメース。種子の部分を粉砕したものがナツメグ。肉料理や魚料理の臭みを消すため、6世紀にヨーロッパに入ってきました。大航海時代もナツメグとクローブはモルッカ諸島の特産で、列強はこの島の支配権を巡って争いました。
ナツメグの種子を乾燥
ナツメグの種子を乾燥

干してあるナツメグとクローブ
干してあるナツメグとクローブ:しゃがんで説明しているのは日本語が話せる現地のガイドさんです

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