日食の撮影について

日食はカメラと三脚とFILMがあれば、誰でも撮ることができます。でも、初心者は緊張してプレたり、FILMが足りなくなって2〜3分しか続かない皆既日食の最中に交換しなければならず、せっかくの現象が見られない方もいます。冷静に対処した方がいいでしょう。

アフリカンコロナ私は皆既日食を確実に捕らえるために、500mmの反射望遠レンズを使います。これは光を反射する2つの鏡で筒の長さを短縮して、運びやすいようにしたものです。最近気がついたのですが、500mmでもまだピントが甘くなってました。テレコンバーターというレンズを付けると焦点距離が2倍になります。500mmは1000mmになりますが、レンズ自体の明るさが半分になってしまいます。このため感度が高いFILMを使って、シャッタースピードを一定にします。使う機材やFILMによって違いますが、大きく広がったコロナは1秒で、ダイヤモンドリングプロミネンスは1/2000秒あれば映ります。この露出時間を段階的に変えて撮ると、様々なコロナの流れが分かります。

アフリカンコロナ写真では一瞬を切り取るしかないのですが、肉眼では内部コロナも大きく広がった外部コロナの様子も見られます。皆既になると完全な闇とはならず、ちょうど満月の明るさになります。また活火山が噴火して微粒子が大気中にばらまかれると満月より明るい空になります。私は1991年7月11日にメキシコでそれを体験しました。現在は大気の汚染がより広がって、暗闇の日食が見られない傾向にあります。

皆既日食は、気候条件の良いところで見られるとは限りません。
特に1997年3月9日のシベリア皆既日食は、観測地が−20℃ありました。カメラを保温しないと、一眼レフの液晶が凍ってしまいます。また、FILMが切れてしまう恐れがあります。その為カメラの回りを保温しなければならないのですが、例えばカイロ灰をガムテープでくっつけてもあまりの寒さにはがれてしまいます。この場合貼るタイプのホッカイロが効果的です。その上にジャンパーなどをかぶせ、撮影の時だけ外して撮ると一眼レフでも撮影可能です。この時は皆既の時に−30℃を記録しました。一瞬の現象を撮影するのですから、失敗は許されません。私は、素手でシャッターを押しました。この無理がたたったのか、帰国してから指先が軽い凍傷になりました。
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