シベリア氷点下ツアー(観光編)

(1)観測場所について

今回の日食は真冬の寒気団が居座るモンゴルからシベリアを通過して北極海にかけて見られます。そのため防寒には気を使いました。更に北極に近い所で皆既日食が起こるため、太陽が斜めから地表を照らす影響で高度20度以下の観測となり、皆既帯の幅も広がります。観測地の皆既継続時間は2分41秒です。私は最初からロシアという国に興味があったので、ジェス旅行センターが主催する皆既日食ツアーAコースに参加しました。
1997年3月9日の皆既日食帯地図
1997年3月9日の皆既日食帯地図
(2)真冬のシベリアへ

大抵の日食ツアーは成田空港から発着するのですが、このツアーだけは唯一新潟空港から発着します。1997.3.5に実家の青森県弘前市から特急白鳥に乗って新潟へ。駅前から空港行きのバスに乗って行きます。添乗員から搭乗券を受け取って、16:30発イルクーツク行きに乗ります。イルクーツクに20:00到着。シベリアは入国するのに時間がかかります。手荷物を入念に検査されました。
新潟空港
新潟空港
カメラを見せてとポーズされたので係員に渡したら、ファインダーの中まで覗きます。不幸だったのはNHKのクルーか誰かが、大掛かりな荷物を何十個も持ってきて検査に時間がかかり、ホテルに着いたのが22:00を回ったことです。中身は決まった荷物だからフリーパスにしてくれても良さそうなものだけど。

イルクーツクは弘前と同じような気温で過ごしやすいです。バイカル湖に近いせいで、ホテルの前は20pほど根雪がありました。
ロシア・エアロフロート
ロシア・エアロフロート
(3)バイカル湖を歩く

翌朝、イルクーツク郊外にあるロシア科学アカデミーで太陽研究所の見学とセミナーを受けました。
1995年10月24日に東南アジアで観測された皆既日食と太陽観測所の施設をスライドで紹介されました。バイカル湖近くのレストランで昼食を取り、その後バイカル湖畔に行きます。2〜3月は湖が完全に氷結して歩けるのはもちろんのこと、サンドバギーのような車が猛スピードで目の前を駆け抜けて行きます。
氷結のバイカル湖
氷結のバイカル湖
氷の厚さは約2m。湖岸には御神渡りのような氷の重なりがあって、その裂け目の色は透き通るように鮮やかなマリンブルーでした。湖上でしばらく散策した後、イルクーツク市内に戻ります。

市内ではトロリーバスが路面電車のように走っています。車道は路面の中心線が無く、やけに古い車が走っていました。よく見ると日本で製造された中古車です。日本語が書かれたままで走っていました。
イルクーツク市街を走るトロリーバス
イルクーツク市街を走るトロリーバス
バイカル湖で過ごしたあと、イルクーツク空港からツアー会社が用意したチャーター機で空路チタに向かいます。後部座席の窓側に座れたので、プロペラの羽根を気にする事もなく早速景色を撮ります。

イルクーツクからは一面雪に覆われて白一色。同じような景色に飽きたころ、いくつかの巨大な湖に出ました。ここシベリアに着いてから連日快晴で、湖面の青が鮮やかに映えていました。
チャーター機
チャーター機(クリックするとチタ市街)
ここで飛行機は機首を下げて降下します。やがてКенон(ケノン)湖が近づいてきて、その向こうにはチタ市街も見えてきました。イルクーツクで観測地周辺の地図を買っておいたので、チャーター機の経路には不安がなかったです。

ここチタ州から時差は日本時間と同じ時間になります。日本より遥か西に位置しているのに時刻が同じだとは変な話ですが、北方領土の時刻はロシアの時間で言うと、日本より2時間先に進んでいるのだそうです。
Кенон湖
Кенон湖(クリックするとチタ地図)
(4)チタ市街にて

夕食はレストラン"エル・ド・ラド"に行きます。仄暗い照明の店ですが、ウェイトレスがとても美人で殿方達は彼女に見惚れていました。

ここでツアー会社がキャビアとカニ缶の試食を提供しました。試食の順番が最後だったので、多めに残っていたキャビアを一口食べたら、秋田県の特産品ハタハタの魚卵(こっこ)と同じ味なのでキャビアを買わずにカニ缶を買いました。カニが美味かったのもポイントです♪
レーニン像と劇場
レーニン像と劇場(クリック)
ホテルにはエレベーターが無く、ポーターもいないので荷物も自分達で運んでいましたが、さすがに5階の部屋まで荷物を持ちながら階段を登るのは躊躇しました。

受付の裏に小部屋があり、そこに重い機材や荷物を置いて日用品だけを持っていきました。
チタの百貨店
チタの百貨店
翌日はチタ気象台を訪問して、屋外に設置された地中温度計と風向観測計を見学しました。好天はここ数日続き、日食当日も晴れの予報が出たそうです。地中温度計は長さ3mもありました。

午後はフリータイムなのでチタ市街を歩いて散策しながら自由市場へ向かいます。途中パン屋さんと洗剤屋さんを見つけました。KIOSKみたいな店舗に一つのテーマしか売っていないのは面白いです♪
チタ気象台と照度計
チタ気象台と照度計(クリック)
チタの自由市場にはテントに露店が並んで密集していました。私はロシア人が頭にかぶるロシア帽を買いたかったのですが、今回のツアーでは5000円しか小遣いを持って来なかったので結局買えません。日本円で5000円から売っていたそうです。

青森では今でも使えて実用的ですが、よく考えてみると銀河鉄道999のメーテルに憧れてロシア帽が欲しかっただけかも知れません。
チタの自由市場
チタの自由市場
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