サンファン皆既日食・準備編

さやまB
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【2年前】

2017年8月21日。快晴の米国ナッシュビル州議事堂前。ABCニュースにライブで取材され心拍数の高まる中、第二接触の20分前までなかった、大きさが太陽の10倍くらいの雲が、第二接触から第三接触の間、狙い撃ちしたように太陽だけを覆い隠しした、あの日。

それまで8回連続で快晴のもと見続けてきた皆既日食に対して、それまで以上に「見たい!」という想いにかられ、帰国したのでした。

米国ナッシュビル州議事堂前
米国ナッシュビル州議事堂前
特に、2009年杭州に集まっていただいた友人17人のうち4人がそれぞれの家族を連れてナッシュビル現地に参集いただいたのに、お見せできなかったのはとても残念で、場所選定の難しさを痛感して、2017年皆既日食は幕を閉じました。





【第二接触の365日前】
ナッシュビル市街
ナッシュビル市街
ちょうど2018年7月。

航空券の予約はシステム上355日前から可能ですので決めるべきことは決めないと話が進みません。

今回は「そもそも観測可能な場所に単独で行くにはどうすればいいのか」に非常に迷い、チケット予約まで手が回っていませんでした。やはりこれがあとあと尾をひくことになります。
2017年8月19日の全米天気図
2017年8月19日の全米天気図
【第二接触の44日前】

ぐっと時間は過ぎ、2カ月を切った頃。堰を切ったように手配に動きます。

ちょっと手配をさぼっていたのを挽回すべく、2〜3日集中して「観測場所の決定」「フライト」そして「通訳」の手配を完了させました。
2017年8月19日の全米気温
2017年8月19日の全米気温
(1) 観測場所

アンデス山脈東の都市サンファンを選んだのは、「予報雲量が少ない」「ブエノスアイレスからのフライトがあること」に尽きます。

2017年のナッシュビルも全天雲量が少ないことを選定理由にしましたが、 「SCATTERED CLOUD」に悩まされたからです。NASAのサイトでの予報雲量は20%と、高校地理にでてくるプレーリー・パンパの冬季7月の気候をそのまま数字にしている状況ですね。

後述するどのフライトをとっても片道機中2泊は避けられず、現地の移動を最小限にしたいということがありました。皆既帯の南端ですから皆既継続時間はある程度仕方ないと割り切った選択です。

サンファン市を皆既帯南端が南北二分するので、できるだけ北にいけばいいかな、とその時は思い、詳細な観望場所は現地で探索することとしました。
サンファンの皆既帯
サンファンの皆既帯
(2) フライト

UNITED AIRLINESが今回の旅の友です。アルゼンチンの首都ブエノスアイレスへの渡航ルートは意外に多く、「アジアから北米経由」、「アジアから欧州経由(ロンドン・フランクフルト)」「東京から南アフリカ経由」「東京からニュージーランド経由」、「東京から香港・南アフリカ経由」と多彩です。

普段見慣れたメルカトル図法の地図のイメージマジックに引き寄せられるとついつい北米経由しかない!と想像してしまいますが、どのルートもさほどフライト時間は変わらないことがわかりました。どっちみち機中2泊ですから、「出発できる日」「価格」「シート」を基準に選んだのは、北米ルート。

出発地をソウルにしたのは。スケジュールの都合と価格が決めてです(詳細は別の機会に譲りますが、ソウル発券はこの数年値上がりしたとは言え、航空会社のオフィシャルサイトで購入してもいまだ日本発着よりも価格的なメリットがあります)
南米の気候区分
南米の気候区分
往路はソウル―サンフランシスコーシカゴーブエノスアイレス、帰路はブエノスアイレスーヒューストンーサンフランシスコーソウルと乗り継ぎがちょっと多い感じですが、乗り継ぎ時間は各2時間未満、最小55分でしたし、同じ航空会社で通していますから問題なしと判断しました。


(3) 通訳
UNITED AIRLINES
UNITED AIRLINES
今回初めて現地で通訳の方を手配しました。と言っても友人の友人がアルゼンチンの方で日本語勉強中でしたので、その方に。

ブエノスアイレスはまだ英語が通じるほうでしょうが、 アンデス山脈ふもとのエリアまでいけば英語は通じないでしょうし、現地での場所探しに使うタクシー一つ取ってもスペイン語のハードルがのしかかりそうです。お守りになっていただくべくブエノスアイレスーサンファン間往復のフライト料金と日当を対価についてきていただくこととしました。
サンファンの位置
サンファンの位置

サンファンの皆既帯
サンファンの皆既帯

【第二接触の30日前から】

場所、フライトも決まり、持参する機材をあれこれ考える6月となりました。 ビクセンGP2(手荷物預け)+タカハシFSQ-85 ED(機内持ち込み)を不動の遠征スタメンにしていましたが、「赤道儀のセッティングを前日夜にできない場所」「機内持ち込みできるボリューム」「乗り継ぎトラブルがあっても、最低限の撮影機材だけは現地に持っていけること」を考えまして、スタメンはおうちで待機として、以下、選定しました。 雲海をフライト
雲海をフライト
<望遠鏡> REDCAT51(William OPTICS) 
<架台>  AZ-Gti経緯台(4s、SKY WATCHER、iPadで操作)
<カメラ> CANON 60D、6000D
<ビデオ> CANON XS20
<三脚>  2脚
<備品>  気温記録デバイス、デジタル水準器、大型コンパス、 REDCAT用自作太陽フィルター(2セット:バーダープラネタリウムの太 陽遮光シート×段ボール枠で自作)
サンファン中心街
サンファン中心街
ブエノスアイレスまでの三脚2本はトランク行とし、それ以外の全てを機内持ち込みにすべく、大型デイパック型カメラバックにパッキングし、背負える重さであることだけ確認しておきました。

私の住む東京の6月は本当に雨続きで、太陽を使った日食のシミュレーションを一度もできずじまいでした。室内でころころ試してもなんだかコツがつかめません。
2019〜2020年の皆既帯
2019〜2020年の皆既帯

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