テルナテ島皆既日食・観測編

Keietsu Sayama

サッカー場観測地とテルナテ日本村の位置
サッカー場観測地(Gelora Kie Raha Ternate)とテルナテ日本村(Jalan Lain)の位置

(14)日本村に行く

井上さんの提案で「砂の影響があるからスーツケースは持って行かない方がいい」とのことでスーツケースはホテルの部屋に置いてきました。機材と三脚を巾着袋に入れて肩からぶら下げてロビーに行きました。

朝6時半過ぎに白い車から現地の人が降りてきて「井上さんと佐山さんですか?」と聞かれたのでハイと答えて同乗しました。車の後ろには白地に赤文字で日本村と書かれていました。
日本村の車
日本村の車
車には先に二人が同乗していて、いずれも現地の人で日本語が堪能でした。ツアーバスより速いスピードで観測地に向かいます。それでも40km前後でした。道幅が狭いのでリアルに速く感じました。途中、青い壁のホテルに寄って同じ目的の日本人を拾います。濃い髭を生やしていますが、若そうな風貌でした。

あとは日本村に直行します。帰国してからGPSで調べたところ、観測地となったサッカー場より7.4km南西に離れたところに日本村はありました。右図のJalan Lainと書かれた場所で観測しました。
日本村の位置
日本村の位置
昨夜の雨の影響を若干残しているような雲でしたが、太陽の方角は分かりました。これから皆既日食が見られるなんて、ちょっと信じられないような静けさです。

若くて髭を生やした方とお話しながら弊サイトのロゴが入った名刺を渡しました。するとビックリしたような顔になり、「いつも利用しているサイトのファンです。」と言われました。その方は棚倉さんと言う名前で、病院に勤務している形成外科専門医でした。私は歯医者になりそこねたので、医療関係者の方を尊敬します。
観測地の朝日
観測地の朝日
棚倉さんがノートパソコンを開いているので、色々と見せてもらいました。日食掲示板に現地の様子を伝えるために使わせてもらっていいか尋ねたところ快諾を得たので、早速以下の記事を書きました。

テルナテ日本村 投稿者:管理者
投稿日:2016年 3月 9日(水)07時50分34秒

皆様、おはようございます。

今までネット環境に恵まれなかったのですが、ここに来て知り合いになった方からパソコンを拝借してアクセスしています。ありがとうございました。

ここはテルナテ島の最南端、テルナテ日本村です。
現地は段々晴れてきて暑くなりました。
元々のツアーから離れて行動していますが、7年ぶりの観測が上手くいきますように・・・

観測に成功しましたら、また改めて報告します。ここは30人位の規模があります。 設営機材のすぐ目の前が海です。時折サーッと海風が吹いています。

http://ameblo.jp/megomegoco/

と言うことで、この頃には既に機材の設営を終えていました。写真は日本村で見える風景の説明です。
日本村から見える風景の説明
日本村から見える風景の説明

1000ルピア紙幣表面
1000ルピア紙幣裏面
1000ルピア紙幣の表裏

(15)日本村での再会
  0°45'21.8" N
127°20'40.6" E
上記が携帯電話のGPSから割り出した観測地の位置です。機材の設営を終えてから測りました。 目の前が海岸なので、津波防止のために堤防が設置されていました。堤防と言っても、高さが50cmのコンクリートで作られた壁が延々と続いているだけのものです。
日本村ののぼりと2つの島
日本村ののぼりと2つの島
テルナテ日本村には日食グッズも売られていました。タダで開放する代わりにグッズを買って欲しいのでしょう。何も買わずに立ち去るのもナンですから、ここには映っていない石鹸をお土産に買いました。

その右に休憩所があったので、軽食をとったりネットをしていました。 観測用の椅子も人数分あったので、持ってきた折り畳み椅子は休憩所に置いたままとなりました。日本村には蚊も飛んでいなかったので、道中は虫に刺されることが無かったです。
テルナテ日本村のTシャツ:1枚1000円
テルナテ日本村のTシャツ:1枚1000円
休憩所でネットをやっていた棚倉さんのパソコンをのぞかせてもらいました。それによると
第一接触 8:35'59" 第二接触 9:51'29"
最大接触 9:52'53"
第三接触 9:54'17" 第四接触11:20'42"
と出ていました。皆既日食継続時間は、2分48秒となります。サッカー場が2分45秒継続するので、日本村の方が3秒長くコロナを見られます。国立天文台の計算センターからのDATAだそうです。
日本村観測地のDATA
日本村観測地のDATA
…観測を再開します。三脚固定の機材なので、手動で常に太陽を追いかけないと写野に入りません。朝7時半頃、セッティングの最中にドガドガと日本人がやってきて機材のセッティングを始めました。

その中に観測者をビデオ撮影している聞き慣れた甲高い声が…よく見ると1998年と2001年〜2002年の皆既日食ツアーで同行した宿谷さんではありませんか!早速ご挨拶をしたところ、その隣にも1998年と2002年の皆既日食ツアーで同行した井田夫妻がいました。
観測地目前の海岸
観測地目前の海岸
偶然観測地が一緒になり驚きましたが、久々の再会を喜びました。昨日、日本村の存在を知ってここに観測場所を決めたそうです。右写真はその記念撮影。

御一緒した皆既日食は曇られたことがなかったので、「佐山さんがいたから晴れる!」などと言われました。皆既日食の天気は運任せでギャンブル的なところがあります。私がその場で曇られたことは2008.8.1の皆既日食だけですが、太陽以外は雲に隠されなかった珍しい日食でした。俗に三塘湖の悲劇とも言います。
WILD NAVIツアーと合流
WILD NAVIツアーと合流

テルナテ日本村
テルナテ日本村…朝9時前に撮影

(16)欠け始める太陽

今回の遠征は一ケ月足らずでバタバタと決まったこともあり、観測機材の更新が出来なかったです。なので今までの機材を持って行きました。ただ三脚は、もっとマシなモノを持って行った方が良かったと思いました。

本来であればSONY FDR-AX55と言う4Kハンディカムを購入して迫力のある動画を撮りたかったので三脚も3本持って行く予定でした。あいにく入荷待ちのショップが多くて、ツアーが始まってしまっても入荷待ちのショップばかりなので泣く泣く諦めました。

太陽観測用のアストロソーラーフィルターも、その場で切って輪ゴムでレンズに付けただけの簡易な作りでした。2001.6.21のザンビアで撮影したコロナやダイヤモンドリングの写真が成功しましたが、あれはマレに上手く取れた作品で普通三脚固定で撮ったら失敗してしまいます。今回も久しぶりの皆既日食撮影と言うことで相当慌てて撮りました。

後悔先に立たずですが、結果的に折り畳み椅子は使わなかったので予備で購入した三脚を持って行った方が良かったのです。ちょうど波よけの堤防が三脚を立てるのにギリギリの幅があったので、皆さん堤防の上で三脚を置いて観測していました。フィルター付きの双眼鏡も持参しましたが、あまり役に立ちませんでした。
今回の観測機材と筆者
今回の観測機材と筆者
段々と太陽は欠けてきます。隣で観測している棚倉さんも「太陽の減光の仕方が普通じゃない」と興奮した様子でした。空は段々と青みを増して、海風も涼しくなります。太陽の高度は意外なほど高くなり、銀塩カメラの三脚を直しました。

拡大撮影をしているので、ファインダーに太陽が入ってくれません。広角レンズに付け替えて太陽を中心に拡大レンズを付け直したりしました。やっと太陽がファインダーに入ったころ、食分は90%になっていました。
太陽光と観測者
太陽光と観測者
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