テルナテ島皆既日食・日本村編

Keietsu Sayama

(11)日本村との出会い

ホテルの受付に置かれていたパンフレットが気になって井上さんと相談してとりあえずどのようなものか電話してから決めることにしました。テルナテ島最南端なら皆既時間も若干伸びそうだし、海岸沿いならロケーションもいいはず。電話は井上さんが掛けました。すると行きも帰りもホテルまで無料で送迎してくれるとのこと。もちろん日本村にも金は掛からないそうです。

問題はツアー本隊から観測地を替えて別行動が出来るかどうかでしたが、Bコースの添乗員から「観測が目的なので別行動が出来ますよ。くれぐれも注意してくださいね。」とのことでした。電話はまだ続きます。本隊から離脱することが決まったものの、集合時間をどうするかが問題でした。観測地まで渋滞すると困るので、ホテルへ翌朝6時半に来てもらうようにしました。

こちらの朝食は朝5時半から始まります。ちょうど時間が合ったので、話がまとまりました。実際、四方を観客席に囲まれてすり鉢状になったサッカー場の観測地では風が吹いてこないだろうし、井上さんはロケーションが悪いとのことで双方の利害も一致しました。
ホテルの受付に置かれていたパンフレット
ホテルの受付に置かれていたパンフレット
日本村スタッフとの話が終わり、夕食まで時間があったので部屋に戻って早速シャワーを浴びました。シャワーの前にトイレでしたが、便も良く出て久しぶりにスッキリしました。普段これほど便が出なかったことがないので、移動による環境の変化と疲れがあったのだと思います。ここで現地のトイレ事情を説明します。

インドネシアは水洗い文化圏。水洗い文化圏のトイレは概して清潔です。ただ観光客向けの場所以外ではトイレットペーパーが備え付けられていない場合があります。また、ペーパーを流すことを前提とした太さの排水管になっていない場合があります。ペーパーホルダーのないトイレに紙を流す時は注意が必要です。ここは基本的に手動ウォシュレット(水を流しながら自分の指で拭く)です。大便の時に指を汚したくないです。

ホテルでトイレットペーパーを用意するので、日本からは持って行かなかったです。普段はトイレットペーパーを置いていないので、ペーパーホルダーの備え付けもなく手で紙を引きちぎるしかありません。それでも近くにあった方が良いので、パイプで出来た上の棚に置きました。部屋も蒸し暑かったので、お湯が出ないシャワーを浴びてここ2日間の汚れを落としました。石鹸は備え付けられていましたが、バスタオルが一枚しか無かったです。最初の風呂は捨ててもいいタオルで身体を拭いて、サッカー場や街歩きで靴に着いた砂埃を拭き落としてからゴミ箱に捨てました。
ブルバードホテルのシャワーと便器
ブルバードホテルのシャワーと便器
ちょうどシャワーを浴びている時にコーランの大音量が鳴りました。それから30分ほど続いて、鳴り止んだ頃に眠くなってしまい1時間ほど寝ましたzzz

ホテルの斜め向かいが大きなモスクで、そこから聞こえるコーランです。窓のない部屋だったのですが、ドアの方向がコーランの鳴っている方向に近いです。

夜6時、夕食に出かけます。さすがに風呂に入らなかった方はいなくて、全員新しい服に着替えていました。
ブルバードホテルのベッド
ブルバードホテルのベッド

ブルバードホテルで売られていたTシャツ
ブルバードホテルで売られていたTシャツ:1枚1500円

(12)夕食と本の話

夕食のレストランもバイキング形式でした。焼き鳥のようなものが美味しかったです。出されるものが定番なので、スープは辛い・フルーツはスイカ中心にとる、揚げせんべいが美味い…この3点を中心にします。メロンやバナナが食べられないので、必然的にこのようなメニューとなります。一部の方には、サッカー場の観測を離脱してテルナテ島最南端の観測地に行くことを伝えました。他の添乗員にも明日だけはツアーを離脱することを把握してもらいました。

Aコースには田舎の青森県弘前市から、みちのく天文サークルの会長が参加しています。会長にもツアーを離脱することは伝えましたが、日本村のパンフレットは見なかったらしいのです。この時点でAコースのツアーが泊まったホテルには、日本村のパンフレットが置かれていないことが分かりました。もしAコースで参加していたら100%サッカー場で観測していたでしょう。

さて明日の観測はどうなるか…サッカー場が吉と出るか、テルナテ島最南端が吉と出るか…いずれにしても観測地は分散した方が雲間から捉える仲間もいると言うのが持論なので、明日に賭けることにします。

レストランでジュースや水が無料で配られていました。右写真のファンタ・ストロベリーを飲んだのですが、甘すぎました。日本以外の米は全て長粒種です。21年前に日本がコメ不足で長粒種の米をよく食べたので、特に違和感は無かったです。
甘すぎたファンタ・ストロベリー
甘すぎたファンタ・ストロベリー
ブルバードホテルに戻りました。他の観測者の話も聞いてみたかったので、ロビーに残って話を聞いていました。メンツは先に機内で隣同士だったKさん、白いシャツが似合っていたWさん、京都で副住職をしている平成生まれのHさん、紅一点のOさん、それと私です。

2009.7.22の皆既日食に伴う皆既日食と宇宙のふしぎと言う本に2001.6.21のザンビアで撮影したコロナやダイヤモンドリングの写真が使われた本を持参していたので、自己紹介で皆さんに見ていただきました。
夕食のバイキング
夕食のバイキング
2009年は鹿児島の奄美大島とトカラ列島から硫黄島にかけて皆既日食が通過するので、まれに見る皆既日食フィーバーが起こった年でもあります。写真は2009年6月までに書店やコンビニで売られていた日食ガイドや日食グッズです。「皆既日食と宇宙のふしぎ」は日食を入口に、太陽、太陽系、宇宙へと話題を広げています。皆既帯に含まれる島々の地図もあります。

これらの日食ガイドには、全て日食グラスが付いています。「皆既日食と宇宙のふしぎ」には2枚の日食グラスが付いていました。今では古本となり1円で販売されています。在庫が欲しいので、また手元に10冊くらい置いておきたいですね。他にも日食メガネと言う題名で日食グラスが付いている物品の写真説明にも私がザンビアで撮影したコロナやダイヤモンドリングの写真が使われています。

これだけで飯は食えないので、しがないサラリーマンをやっております。本には弊サイトのアドレスも載せているので皆さんに見てもらいました。
日食ガイドや日食グッズ
2009年に販売された日食ガイドや日食グッズ
インパクト充分の本を見ていただいて良かったです。他の話題に移りかけていた頃、雨が強く降ってきました。このメンツで夜空を見に行こうという話になっていたそうですが、大雨と共に流れてしまいました。

移動で疲れてロクに寝ていないので、皆さん部屋に戻りました。風呂に入る前にビデオカメラは充電しておいたので、次は予備に使ってしまったリチウム電池と携帯電話の充電です。職場の同僚から変圧器を借りていたので、この場で大変役にたちました。

現地のTVも大事な情報源ですが、日本のように頻繁には放送されておらず、逆にいつ天気予報が見られるのか分からなかったです。TVは3chと4chが皆既日食前日と言うことで特別番組をやっていました。皆既日食がインドネシアのどこで見られるのか経路図のアニメが出てきたり、明日の中継に備えて皆既日食リレー中継のため各地のリポーターを映していました。

記録に残るので、電源をつないだまま三脚を立ててTV画面を収録しました。Wifiがないので、旅行中はインターネット環境から離れます。天気予報ならネットで調べられたのですが、明日の天気を信じて寝ましたzzz
ホテルの壁に貼ってあった島々の地図
ホテルの壁に貼ってあった島々の地図

コーランの一小節:ムスリムは1日に最低17回は開端(コーラン)を暗唱する

(13)観測前の朝食

突然コーランの大音量で飛び起きて目が覚めました。短い間ならすぐ寝たのですが、それが30分も延々と続くので起きざるを得ません。恐らくコーランの全小節を読んでいるのでしょう。コーランの意味も分からなければ単なる大音量でしかありません。予定していた時間より遥かに早く、朝4時45分にコーランが鳴ってから眠れなくてずっと起きています。

皆既日食当日の朝、寝過ごしてコロナを見損なった夢を以前見たことがありましたが、コーランの大音量が悪い夢を消し去ったようです。寝る前に観測機材をまとめたので、あとは朝のシャワーを浴びるだけです。

朝食は朝5時半から。それより前の時間だったのでホテルの給湯器も無事に機能して暖かいお湯でリフレッシュしました。ビデオカメラの充電をしながら朝のTV番組を見ましたが、天気予報はやっていなくて皆既日食特番のような番組をやっていました。

5:20頃にはホテル内のレストランに着きました。おなじみのバイキング形式なので早いもの勝ちです。バイキングにサラダが置いてあったら良かったのですが、これだけでも結構な量です。同じ席に座った方々には、観測地だけツアーを離脱することを伝えました。
レストランのバイキング
レストランのバイキング
日本村に同行する井上さんを朝食の席で探したのですが、まだ現れません。テルナテ島の時差を間違えているのか、はたまた寝ているのか…

朝食が終わった頃に井上さんが現れました。少し遅く起きたそうです。部屋によってはコーランの大音量が聞こえない部屋があるそうです。いつもは携帯電話のアラームで起きているのですが、それが無くても飛び起きてしまうほどの大音量でした。それとも泊まった部屋のドアの壁が薄かったのかな?
朝食のバイキング
朝食のバイキング
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