■キャプテンクックと金星の太陽面通過
バスはガラガラでこのままの状態でツアーが行われるのかと思ったが、日食をチャーター機で見た方々も同じバスに乗り込むので、ほぼ満席になると言われた。バスにはPTSの方のほか、今回の旅行を手配したタヒチ・ヌイ・トラベルのアライさんが同行した。
出発したバスは数分でインターコンチネンタルホテルに到着した。確かに空席が目立っていた席はどんどん埋まっていった。ハオ島では結構若い人もいたが、チャーター機組はご年配の方が多い?というのが印象的であった。
ほぼ満員状態(40名程度)となったバスは空港の脇を通り過ぎて、パペーテ市街に向かった。アライさんによると、ここでは信号機が5箇所程度しかなく、交差点にはロータリーが多い。
横断歩道は道路が一段高くなっており、信号などは無いが歩行者がいる場合は、車は必ず止まることになっている。慣れれば歩行者がいない限りスイスイ行けるということで、逆に便利ということだった。
渋滞したパペーテ市内を抜けたバスは、島を時計回りに移動してポイントビーナス(金星岬)に向かった。アライさんが説明を行った後に、村山先生から詳細な解説があった。
それによると、ハレー彗星で有名なエドモンド・ハレーは、金星の太陽面通過を観測することで、地球と太陽の正確な距離を決められると発表した。それを受けて、1769年に起こった金星の太陽面通過の際には、発見され間もないタヒチ島が観測場所(全経過が見られると予報された)になって、キャプテンクック率いる一団が観測した岬付近が、ポイント・ビーナスと呼ばれることになったということである。
観測機材を現地の住民に持って行かれるトラブルがあったものの、なんとか取り返した。しかしブラックドロップが発生してしまい、ハレーが期待した精度は得られなかったそうである。
そうこうしているうちにバスは、ポイント・ビーナスに到着した。付近は公園として整備されており、パンの木やゴムやバナナの木もあった。
公園の中には、観測場所を記念した☆と○印が組み合わさった白い像があった。村山先生も車椅子ながら一緒に降りてきて、私と並んでこの像を撮りたい方はどうぞということで、すぐに列ができた。私もその中の一人であった。
その後海岸線に出たが、ここの砂浜は島を形成している玄武岩が侵食されて形成されたので、黒い砂浜であった。対岸にはパペーテ市街も見えたが、村山先生によると、砂浜の奥の入り江付近はキャプテンクックが上陸した場所ということで、先生ご自身も体が不自由な中移動されて写真を何枚か撮影し、この付近は昔のまま残っていることを話されていた。
その後来た道を戻って、バスは更に島を南下した。沿道にはマンゴーの木があり、たわわに実をつけていた。アライさんによると、日本のように一つ一つの実に丁寧に袋をかけることなく、そのままの状態にするので、完全に熟するのを待っていたら鳥などに食べられてしまうので、少しピンク色になった時点で収穫するそうである。そして手が届かない高い場所の実は、竹のかごを伸ばして収穫するそうである。 その後、アラホホの潮吹き穴に移動した。
波があまりにも穏やかな場合、見事な潮吹きが見られないが、このときは波があったので、時折景気良いものを見ることができた。潮吹き穴は海岸付近のほか、橋を隔てたところにもあり、この部分が一番良く吹き出していた。ただ見学地点と潮吹き穴の間に道路があり、いくら良い吹き出しがあっても、運悪く車が通過している時は見ることができなかった。
その後バスはタヒチ・ヌイ島の海岸線に沿って南下した。(タヒチ島はタヒチ・ヌイ島(大きい島)とタヒチ・イチ島(小さい島)の2つがくっついたひょうたん型をしている。タヒチ・イチ島には1周できる道路は作られていない。)
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