南国の環礁で見た薄雲越しの「黒い太陽」7
もくせい
第二接触 本影錐皆既日食までのカウントダウン

PTSのタイムキーパーからは5分を切ってからは、1分ごとに皆既日食までのカウントダウンが始まった。しかし雲が多い。

2分前を告げられたとき、やけになって対物レンズの前にセットしてあったNDフィルターを外して撮影を行ったが、さすがにまぶしく何も写っていなかったので再度装着した。このころ、台の上にセットしておいた魚眼レンズでの撮影をスタートさせた。
第二接触1分前及びNDフィルターを外す準備が告げられた。このとき、再度NDフィルターを外して撮影を再開した。あまりにも一挙に撮影すると書き込み速度が追いつかなるので、一呼吸置きながら撮影を進めていった。30秒前、NDフィルターを外すことが告げられた。

濃い雲が太陽に迫ってきた。皆既へのカウントダウンが告げられ、遂に皆既に突入した。
歓声があがるが、肝心の太陽は雲に入ってしまい全く見えなくなってしまった。
薄雲のコロナ30秒経ってからだろうか?薄雲を通して、ようやく黒い太陽が顔を出した。急いで落ち着いて段階露光を開始した。去年と異なり、プロミネンスが多く、外部コロナはよく見えなかったが、コロナが四方八方に広がっている感じで、明らかに太陽活動が活発化していた。肉眼で時折眺めた。薄雲ごしにコロナがボヤッと見えた。

その後も時折雲に邪魔されながらも薄雲を通してコロナが見られた。タイムキーパーから残り1分が告げられる。そこで撮影を中止して、
第三接触露出計をダイヤモンドリング撮影のためのシャッター速度に戻した。当初の予定では懐中電灯を見ながら行うつもりであったが、その必要が無いくらい明るかった。

タイムキーパーより残り30秒を告げられる。
慎重に撮影を再開した。プロミネンスが次第に見え始めて、皆既日食の終わりが近いことを実感した。そして太陽が静かに顔を出した。周囲が急激に明るくなって、拍手があちらこちらから沸き起こった。
彩層とプロミネンス
カメラ内の太陽も急激に明るくなったので、NDフィルターを再度装着した。それと前後して、シャドーバンドだ!という声があった。太陽に雲がかかった状態でまさか?と思って、さんご礁が砕けた地面をみると、南東から北西方向に淡い帯がいくつも走っていくのが分かった。

薄雲を通してコロナを無事見ることができたので、次第に気が抜けていくのが分かった。魚眼レンズの撮影もこのころ停止させた。

それでもsky90のほうは、予定通り10分おきに部分日食の撮影を続けた。日食終了が10時10分過ぎであったが、昼食開始が10時45分だったので、少しずつ撤収を行うことにした。まず魚眼レンズを撤収して温室から持ち出した小テーブルを返却した。それから椅子も片付けていった。無論、木漏れ日の撮影も行った。

豚の丸焼きこのようなことを何度か繰り返すうちにツアーデスクの案内をふと見ると、談話室の裏の敷地で昼食用の豚の丸焼きを行っているので、見学をどうぞという案内があった。

カメラ片手に見ると煙をもくもくと上げながら、豚の丸焼きが行われていた。初めは遠めに撮影していたが、近く来てどうぞと手招きされたので、目の前で撮影を行った。どんな形で出されるのか?昼食が楽しみになった。

太陽が復円するにつれ、あれほど多かった雲も次第に少なくなっていった。中庭で祝杯をあげる 完全に撤収する人もいたが、これまでの日食と比較して残っている人も多かった。欠け終わりまで1分を告げられた。じっと視野内の太陽を眺める。欠けている部分が小さくなり日食終了が告げられた
。皆既ほどではないが再度歓声があがった。

機材を部屋に運んで解体・梱包を行っていたところ、中庭で祝杯をあげるので出てきて欲しいとアナウンスがあった。作業を中断して中庭に行くとすでにビールを配っていたので、早速受け取った。そして塩田さんが乾杯の音頭を取って、日食観望成功?を祝した。 ハオ島の昼食その後、皆で集まっての記念写真も撮った。

その後は再び部屋に戻って、機材の梱包作業を再開した。日食が終わった後で気が抜けてしまいがちだったが、破損しないように持って帰る必要があるので、疎かにはできなかった。慎重に梱包を行ったために昼食の会場にいけたのは11時を回っていた。豚の丸焼きを細かく切ったものの他に、豆類や、フランスパンや鶏肉を焼いたものもあった。

昼食も無事済んで、後は12時30分の出発を待つだけである。外は日差しが強いので、部屋でボーッとしているしかなかった。

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