炎天下の皆既日食・出発編
炎天下の皆既日食・出発編
Keietsu Sayama
(1)初の企画
2008.8.1の皆既日食〔サロスbP26…47/72〕は、カナダのクィーンエリザベス諸島から北極海を経て、シベリアのノバヤゼムリャ諸島に上陸後、モンゴルと中国国境沿いを縦断して西安で日没となります。
1サロス前の1990.7.22はフィンランドからシベリア東部にかけて見られました。
今回は皆既日食観測を始めて20年の節目になります
。それも兼ねて初めて皆既日食観測ツアーを企画させていただきました。今回はユーラシア旅行社にツアーの催行をお願いしました。なぜこの旅行会社を選んだのかと言うと、一昨年のリビア皆既日食でたまたま帰りの飛行機が同じでユーラシア旅行社のツアー客と隣合わせで色々と情報交換をしたのがきっかけです。

2008年8月1日皆既日食帯(アジア大陸)
その中には、リビアのトリポリで大規模な部分日食を見た方がいて「次回の皆既日食はどこで見られるの?」と直接私に質問されました。機内ではユーラシア旅行社添乗員の接客が優れていたので、ツアーを依頼することにしました。また企画案としてこちらのツアーを毎回催行されているので、シルクロード地域に強い会社だと思いました。また、特にお歳を召した方のツアーを中心にやっておられる会社で、知り合いのサイトもリンクされていました。

右の地図は皆既帯を含む地図です。最初は三塘湖に宿泊して観測地に向かう予定でした。ところが担当者とメールのやりとりをするうちに“三塘湖に宿泊施設がない場合、テントでの宿泊も提案しております。この場合、観測地近くに場所取りの問題さえなければテントを設営して、前日から待機して頂くのが良いのではないかと現地側は申しております。”との回答があったので、テント泊も検討することになりました。
後で分かったことなのですが、三塘湖には軍関係の宿泊施設しかなく外国人は宿泊が不可だそうです。またこの街は1000人ほどの人口で、ここの招待所はベッドのみの部屋でトイレも共同です。招待所はあまり清潔でなく、お湯も出ないことから、日本の方ですと我慢できないレベルだそうです^^ゞ

観測地の詳細地図
(2)旅行会社とのやりとり
更に巴里坤のホテルも現時点から予約は可能なものの宿泊費の先払いが前提となっており、この金額を先に払うのはリスクが非常に高いと報告がありました。
ちなみに宿泊を予定していた巴里坤賓館とハミ周辺のホテル代は、現時点で1泊あたり1室200米ドルという強気の料金で、テント設営に比べ大幅に割高となっていました。また利用航空会社は、中国東方航空では理由のない遅延が頻繁にあることと、同一旅客機でないと割引が効かない点で中国国際航空と決定しました。

南ウィング出発便の電光掲示板
参加人数ですが、最初は20名だったものが昨年末に40名となり、その後パンフレット請求者が増えたので、今年2月末には60名まで増枠されました。またオリンピック開催の影響をまともに受けて、ギリギリまで旅費が決まらなかった経緯があります。これは割引が効かない
特別期間で、普通運賃でないと座席の予約が取られない事態となったので30万円近いツアー代となりました。
また、ベテランの観測者でしょうか?観測地の磁針偏差はどれくらいになるのか?という問い合わせを頂きました。…恐らく玄人の観測者だと思いますが、もし前日に

中国国際航空の機体
観測地へ着かない場合を考慮して正確に赤道儀をあわせるための質問だと思います。様々な資料を見て西偏11〜12度と予想されます…とお伝えしたのですが、旅行中に詳細な地図を見たら東偏1度でした。この東偏とか西偏と言う用語は、弊サイトでも初めて使うものです。つまり、方位磁針の向きは現在の北磁極であるグリーンランド北西部を差しているのであり、真の北極を差していないので観測地によって方位磁針の向きが異なると言うことです。東偏であれば、東向きに磁針から1度ずれたところが観測地での真の北極となります。
中国語で書かれた缶ビール…機内にて
(3)いよいよ出発
7月5日に旅行説明会を行い、こちらからは過去に見られた皆既日食や極細金環日食(パナマ)の映像をお見せしました。意外と初心者の方が多く、映像を見るだけの簡単な説明だったのでウケました。私はツアー担当者の中村さんや石井馨氏の説明の方が内容が濃くて好きでした。その後、嵐のような日々が過ぎて、あっと言う間にツアー初日を迎えました。ザンビアでお世話になった明星大学の高橋教授や日食情報センター関係者など、錚々たるメンバーが成田空港に集まっていました。

烏魯木斎国際空港
(4)慌しい乗り継ぎ
成田空港が14:55発,北京が17:30着。北京から20:00発,烏魯木斎に24:05着のハードスケジュールでした。北京からの乗り継ぎ時間が少なく、乗り換えなのに全て手荷物はX線検査されました。またスーツケースの荷物を減らさなければ料金が取られる危険性があるので、荷物の少ない方に三脚などを臨時に入れていただいて急場をしのぎました。出国時22.2kg、北京で計量したら20.5kgでした。端数は切り下げなのか、超過料金は取られなかったです。ちなみにスーツケースなどはケースの重さ

ホテルでの朝食・バイキング方式
も含めてエコノミークラスが20kg、ビジネスクラスが30kgと決められ、それを超すと1kg辺り4000円の超過料金を取られるそうです。観測のために使う折りたたみイスとか必要なモノまで置いてきました。日付を超えた深夜0時過ぎにやっと烏魯木斉到着。深夜まで待機していた現地ガイドの胡さんが我々をバスまで案内します。日本人の感覚だとどうしてもコーさんとなりますが、本人は自己紹介の時に胡錦濤のと言っていました。日本語が自在に話せるので、非常に頭がいい印象があります。
天山山脈北路からの眺め


高速道路入り口と比較的綺麗な公衆トイレ
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