サハラ砂漠で皆既日食
F数々の失敗が積み重なり…
朝食後、機材のセッテングに取り掛かります。まず場所取りから…観客に邪魔されたくないのでなるべく遠いところにしました。テントの近くにあった椅子を遠くまで運びます。テントに戻り三脚4本、ビデオカメラ2台、一眼レフ2台をそれぞれ三脚に固定します。レンズを取り出してそれぞれにセットします。だんだん暑くなり、テントにこもる時間が増えました。あと一時間で第一接触が始まる時にようやく荷物を運び出します。
真夏並みの強い日差しの中、所定の位置に機材が並びました。次にフィルターの取り付けを確認しようとピントを合わせながらファインダーを覗こうとしたら煙と共に眩しい光が??レンズを見たらフィルターが焼けていました!どうやら接眼側にフィルターを入れたのがまずかったらしく、別なフィルターをレンズ側に付け直すはめに。これで気が動転してしまい、反射望遠鏡の差込式フィルターを触っていたら切り替えバネが外れて取り付けられなくなりました。慌ててテープを貼り、差込式フィルターを固定させます。こうなると気の動転が治まりません。
太陽高度が高いので三脚が上手く移動せず、ピントも合わないまま撮影しました。その時は撮影に夢中で、ピントが合っていなかったことに気づかなかったのです。最後のピント合わせのチャンスである第二接触直前にフィルターを外しピントを合わせました。でも気の動転が勝っていたのか冷静な判断が出来なくなっていました。
長い皆既時間にピントが合わないコロナを撮るのは1991年7月11日のメキシコ以来です。特に1秒近く露出した外部コロナの写真は、太陽に内接する月がフットボールのような形に現像されていました。あまりにも酷い写真なので棄てました。写真は露出時間が短いものを掲載しています。更に悲劇は続くもので、皆既終了後にビデオカメラの確認をしましたが、録画と停止ボタンを逆に押したようで肝心の皆既日食の瞬間が映らないと言う大失態を演じ、映像を配信出来なくなりました。
"三脚固定一眼レフでどれだけ入選作品を撮れるか"が私のテーマでしたが、脆くも崩れ去りました。所詮アマチュアの戯言に過ぎないのです。次の皆既日食は赤道儀と強い三脚を購入して、絶対に失敗しないような写真を撮らなければ…。3時に出発するので、急いで機材をトランクに入れてバスの中へ。出発まで十分ほど時間があったので、食堂で軽い昼食と水分を補給します。結局撮影中は食事をする時間もなくて断食状態でした。
サハラ砂漠のコロナ
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