タイ皆既日食リゾート

1995.10.24の皆既日食(サロスNo143 23/73)は、東南アジア諸国を横断し西太平洋で日没を迎えます。

このサロス周期では最後の皆既日食となり、今後4回の金環皆既日食の後、金環だけが続くシリーズとなります。インドは乾期に入り晴れる確率が高い場所なので日本から多数の観測者が出かけました。インドでは30秒しか継続せずリスクが高いので、雨期が明けそうなタイへ6泊7日のツアーで、阪急交通社に参加しました。

1995年10月24日の皆既日食帯地図
1995.10.21に成田を離陸して、深夜にタイの首都バンコク到着。すぐ夜行バスでリゾート地パタヤまで移動と言う強行軍でした。

車中では後の席にいた男女が何事か話をしてたのを小耳に挟みました。彼は1992年に阪急で、アラスカオーロラツアーに参加したと話しました。その話に乗った私はDコースに彼はCコースの参加で日程も違っています。お互いの簡単な自己紹介が終わりました。

星を見ながら移動
彼はOさん。この時初めてお会いしました。後のオーロラ写真家です。彼女はMさんで、メキシコツアーの違うコースでスレ違っていました。旅行中はこの三人で行動を共にしました。バスの点呼が始まったかと思ったら、こちらのバスが一人多くて向こうのバスが一人足りないのだそうです。

改めて点呼をしたら、どうやら私が乗るバスを間違えてDコースの9号車バスに乗ったみたいで、本来は8号車に乗らなきゃならないのだそうです。とにかく人数は合ったので、間違ったままのバスで移動しました。

リゾート地パタヤ・夜
パタヤのホテルはリゾート地にふさわしい立派な建物でした♪寝たのがAM4:00頃zzz熟睡中モーニングコールが鳴り響き、ビックリして起きるとオプションツアーでラン島へ海水浴ツアーに行く事になっていますが、時間になっても私が出て来ないので部屋にрオたそうです(>_<) 約束の時間より30分も遅れて港を出航しました。昨日の二人も同じラン島へ行くことが分かり、ホッとしました(^o^)

このオプションツアーは新婚さんが多く参加されているようです。やがて船は島に上陸しました。

リゾート地へ向かう
レジャーを楽しんだあと、ラン島唯一のレストランで簡単な食事を取ります。飲み物はヤシの実を実ごと冷やして上だけ割ったココナッツジュースがそのまま出てきました!実の中のジュースをストローで飲むのだそうです。

腹も満たされた頃、洋上でパラセーリングするので喜んで参加しました(約10$)。順番待ちの後、身体に金具を取り付けられて離陸しました。パラシュートが空高く舞い上がり、とても心地よい風が身体を通り過ぎて行きます♪束の間の10分が過ぎて船に降ろされました(>_<)

憧れのパラセーリング
その後ホテルに戻りプールへ入りました。カメラを水に触れないように注意しながら広角レンズでプールの水際からホテルの上空を狙いました。U字型をした建物が印象的です。逆光でプールの水面を撮ったり、部屋に戻って沈む夕陽を見ながら夕焼けを撮りました。

さすがにパタヤはリゾートホテルらしく、空調が完備されています。私としてはもうちょっとツアー代が安くてもいいから中級クラスのホテルに泊まりたかったのですが…

ホテルのプール(クリックするとU字型建物)
翌朝はパタヤを離れてアユタヤへ向かいます。こちらの仏教徒は黄色っぽいオレンジ色の袈裟を着ています。バスは途中、休憩の為に店へ寄りました。今夜は観測地に泊まるので、ミネラルウォーターやお菓子などかさばるものを買っていきます。

店の横にはガムラン楽器を奏でる奏者がいました。東南アジア風でいい感じです♪昼頃にアユタヤ到着。仏像の袈裟は右肩を出した格好が殆どでした。

ガムラン楽器を聞く(クリックすると仏教徒)
日中はとても蒸し暑く感じて、上着を脱いでもまだ暑いくらいです(>_<) 白く化粧をされた寝仏の前で記念写真を撮りました。二時間ほどアユタヤで散策しましたが、これほど仏像が並ぶ場所を見たことがありません。

明日いよいよ観測本番なので、観測地であるチョクチャイ・サマーキー高校へ向かいます。道中は地元の警察にバスの前後を警備されながらの大名行列です。午後10時、観測地に到着。恒例のGPS計測によると、ここは北緯14°45´東経102°10´に位置します。

アユタヤの寝仏
真夜中だと言うのに現地の音楽が奏でられています♪時にはシンセサイザーを使った音楽も…

そろそろ眠くなりましたが、音楽が止みません。添乗員が立ち退きを交渉しに行きました(>_<) Dコースは後から追加されたコースなので、宿泊施設がない高校の教室に泊まらなくてはなりませんToT 東南アジア特有の蒸し暑い湿気でダウンしました(>_<)教室で眠られなくなった私は、たまらず廊下の長椅子に寝袋を敷いて寝ました。

観測地にあった皆既日食の看板
夜半過ぎに夜露も無くなったのでカノープスを撮りました。やがて少しずつ空が白みはじめ、木々の間からポツンと明るい星が現れました。近くの人に聞いたら水星なんだそうです。この時は西方最大離角で明るさも0等級の為、人目に付き易かったのだとか…

水星が太陽の光にかき消された頃、陽が昇り始めました。今日は皆既日食が見られると言うので学校はお休み。特別授業として皆既日食を観察するために校庭の外では学生やヤジ馬のギャラリーが何百人と集まっていました。

シリウスとカノープス
ホテルに泊まっていたツアー参加者も大挙押しかけてきました。ここの校庭には何百人集まったんでしょう?太陽の日差しは増すばかりです。自分達の観測場所は公設テントの近くにしました。そこに置いてあった椅子は自由に使っていいので、機材の後ろに置いて座りながらの楽々観測です♪やがて太陽が欠け始めました。

今回は500oF8反射望遠レンズに2倍のテレコンを付けて皆既専用とします。部分日食は300oF5.6に2倍のテレコンを付け、減光フィルターはD4(ND10000)を使用します。

観測地の横断幕
カメラと三脚は2台用意してそれぞれの瞬間にテレコンを付けたままレンズだけを換えて撮影します。太陽が欠けている途中は余り緊張感がありません。周りを徘徊しに行きました。Oさんは魚眼レンズにフィルターを付けないので何を撮影するか聞いてみたら、皆既中に周囲の景色を180°全天に渡って撮るのだそうです。

だんだん涼しくなり、太陽もかなり欠けています。公設テントの中では皆既帯の西側にあたるタイ国内の太陽を捕らえたTVが映っています。

観測地の様子と私(真ん中)
その画面が一瞬の光を放った後に、縦に伸びるコロナを映しました!TVながら緊張がピークに達しています。こうして皆既日食を先取りした5分後に、こちらでも一瞬の光がパッと瞬いた後、縦に見えるコロナが見られました。太陽と月の上縁は、地球5個は楽に入りそうなプロミネンスが見えています。シャッタースピードを変えてコロナを写します。綺麗な極小期型のコロナです。これは正 午中心食のインドネシアで横に長く伸びるコロナになります。インドでは日の出から間もないので、完全な縦のコロナです。一方タイでは中間に位置しているので、斜めに伸びるコロナが見られました。
プロミネンスと内部コロナ
50oの画角にやっと収まるほど離れた所に金星が見えてます。しばらく見とれていたら、もうダイヤモンドリングが輝きました!太陽の光の粒が幾つも見えた後、眩しい太陽が復活しました。今回の皆既時間は1分39秒と僅かです(>_<) まだ部分日食中なので、8分置きにシャッターを切ります。コマンダーを務めた添乗員が感動のあまり泣いているとの話を聞いたので、早速訪れました。コマンダーとは時計のカウント係で、事前に発表されている予報通り周囲に放送します。皆既中は彼女の声がかなり震えていました。あれから10分も経ったのに感動の余韻が残っているようでした。めんこいですねぇ^o^
極小期型のコロナ
テントの中のTVはタイ国内4箇所の部分日食を放送していました。太陽の姿も元に戻り、三人で観測成功の記念撮影をしました。機材撤収後にバンコクまで移動するので、バスに乗りました。さすがに日中は暑かった為、車中では爆睡しましたzzz

夜8時頃ホテルに到着。早速夕食が始まります。フロアの入口には美しい女性達が座っていました♪好奇心旺盛なOさんは彼女達に色々聞いています。『かわいい』を現地の言葉で何と言うか聞いたら【クゥン・スワァイ・マーク】と言うのだそうです。

タイの美女と2ショット@
その言葉を覚えたOさんは、しきりに彼女達に【クゥン・スワァイ・マーク】を連発していました^o^ その言葉がいつしか三人の間での挨拶!?になりました。翌朝はバンコク市内観光とショッピングです。

Oさんと私は美しい女性をフロアで見つけては、二人でツーショットの写真を撮っていました♪途中、バンコク市内のショップで別のツアーの方々を見かけました。その中に一生懸命シルクの洋服を選んでいる美女がいました。よく見ると1991.7.11メキシコツアーで御一緒したMさんです。

タイの美女と2ショットA
彼女は昨年ブラジル皆既日食で快晴に恵まれ、その様子が天文ガイドに掲載されていました。早速御挨拶を…ビックリされた様子ですが、時間がナイとの事で住所交換は出来なかったです。

その後、エメラルド寺院に行きました。よく晴れた空に黄金の寺院があって良い写真が撮れました。ここもかなり暑くてしかめっ面をしながら歩いていました。 その後、寺院脇の広場で記念写真を撮りました。後でツアー参加者に郵送するそうです。

エメラルド寺院
夕食まで時間があったので、バンコク市内のスーパーを散策しました。広いスーパーの青果売り場には、なんと青森産のリンゴ"ふじ"が売っていました。買う気がなかったので値段は知りませんが、日本から輸入したので多分高く売っているのでしょう。

夕食はタイ舞踊のディナーショーです♪我々の席はガムラン楽器のすぐ近くなので、隣に行って記念写真を撮ります。舞踊が始まりジュディオングそっくりな女性が踊り始めると、観客の視線は彼女に釘付けとなりました。

タイのジュディ・オング(右側)
踊りが終わった後で、観客もステージに上がって踊れると言うので、早速Oさんがジュディオングに似た女性の側で踊り始め、私に写真を撮ってくれと言われました。私もステージに上がり記念写真を撮ってもらいます。楽しい夜が明けて、早朝バンコクを離陸。朝4時頃起床してすぐに出発したので、機内ではよく眠りましたzzz

昨日のうちに現地の新聞を買い占めたので、トランクが破裂しそうです(>_<) たくさんの思い出を載せた飛行機はやがて成田空港に到着。タイで知り合った3人は再会を約束してそれぞれの家に帰宅しました。

踊りを教わる観客

観測地の位置
観測地の位置・・・○印が観測点で画像をクリックすると拡大されます
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