幻のぱしふぃっくびぃなす

Keietsu Sayama
(1)二度目の船旅
2009.7.22の皆既日食〔サロスbP36…37/71〕は、インドのアラビア海に面するグジャラート州のディーウと言う元ポルトガル領だった島から始まり、ネパール東南部・バングラデシュ北部・ブータン・中国の揚子江沿いを経て、日本のトカラ列島や火山列島の硫黄島に上陸後、仏領ポリネシアの西北沖で日没となります。

1サロス前の1991.7.11はハワイからカリフォルニア半島先端・中米を通過してブラジルの奥地にかけて見られました。

当時は、皆既帯正午中心食近くのカリフォルニア半島先端で観測出来ました。あれから1サロス後の正午中心食は硫黄島沖の海上で、初めて皆既日食を見た1988.3.18と同じような場所になります。
2009年7月22日の皆既日食帯地図
2009年7月22日の皆既日食帯地図
昨年の巴里坤皆既日食ツアーに行く前から今回のクルーズツアーを予定していたのですが、個人の力では限界があって催行不能となりました。トカラでは観測場所が少ないし、また中国に行くしかないのかな…と思っていたところ、昨年の6月下旬にある方からぱしふぃっくびいなすクルーズのパンフレットを戴きました。NHKプロモーションと天文学者が同行する豪華客船ツアーです。これはプラチナチケットだと思い、早速参加を決めました。ある先生の枠に飛び込みでの参加と言うことで、昨年の6月末に締切ギリギリで申込金を支払いました。

姫路から出航するふじ丸でもそうですが、貸切客船のため出来るだけ参加者が確定して出航当日は確実に参加出来る方が条件となりました。そのため、同行される先生の知り合いから声が掛かった方しか船には乗られないことになりました。普段から日食仲間と濃密な付き合いを続けていたからこそ、豪華客船で今世紀最大級の皆既日食を正午中心食で観測出来ることが叶ったのかな…と思いました。こんな私にプラチナチケットを紹介して下さった方へ感謝致しますm(_ _)m
皆既日食クルーズパンフレット
皆既日食クルーズパンフレット1
(2)乗船まで
右にリンクしたパンフレットも内密に作られたものなので、ツアー終了後に初めて公開することが出来ました。船に関しては、縁故だけで500名なら500名を集め確実に行ける方でないと声を掛けた人物が全て違約金などのリスクを背負わなければなりません。そのため不確定要素(ドタキャン)の高い一般には、船上ツアーを販売出来ない事情があります。

三代目にっぽん丸は、トカラ列島の輸送に使われます。また、皆既当日は諏訪瀬島の沖合いに停泊して船上観測されました。トカラ列島全体でにっぽん丸のキャパも含めると、約2000人程度しか受け入れがありません。観測希望者が50000人以上に対してあまりにも受け入れ人数が少なすぎました。
またトカラ列島でのツアーが開催されないことになってしまうと、にっぽん丸に対しても違約金を支払わなければなりません。これは一千万円にもなるらしいので、キャンセルするわけにも行かず、相当な決断を近畿日本ツーリストは迫られるものと思います。
皆既日食クルーズパンフレット
皆既日食クルーズパンフレット2
参加人数ですが、客室定員644名に対して募集人員が500名と決められました。これは、あまりに参加人数が多いと甲板での観測に不都合が起きます。甲板での観測場所も人数が多い分、狭くなってしまいます。眼視観測される方は、我々撮影班とは別のエリアで観測となりました。甲板自体も広くは無かったのですが、ふじ丸に比べるとかなり広めに取ってあるそうです。締め切り間際に駆け込み参加を決められた方が多かった影響で、若干狭い場所を割り当てられてしまいました。

NHKスタッフは、我々とは別の特等席で撮影します。
全国に放送するのですから、特等席に陣取るのは仕方ありません。でも2003.11.24の南極皆既日食では、皆既日食の見える方向が高台となってしまい、一般のツアー客が苦汁をなめたと聞いています。NHKが高台を占領してしまい、ツアー客に別の観測場所が割り当てられたためです。もし私がその場に居たら、かなり怒っていたに違いありません。地上の映像も良かったのですが、
南極上空でヘリを飛ばして撮影していたのですから…
皆既日食クルーズパンフレット
皆既日食クルーズパンフレット3
さて私に割り当てられた客室ですが、6階にあるステートルームBとなりました。2名1室なので、知り合いと同室です。出港も帰港も横浜からとなります。今年の3月19日までに旅行代金全額を支払い、総額で228000円となりました。21年前に初めて皆既日食クルーズツアーに参加した時は100000円で行けたので、物価高を如実に感じることになりました。貸切客船のため、取消料が出発の120日前から発生します。この点もドタキャンが出来る普通の海外ツアーではありえないことです。

もっと安い設定のステートルームCがあったのですが、申し込み時点で既に埋まっていたので止む無くステートルームBにしました。逆に考えれば船のエンジン音が近いところでなくて良かったのかな?とも思います。大型客船で、二代目にっぽん丸のように揺れる船ではなかったです。パンフレットには、フィンスタビラーザーと言う横揺れ防止装置が装備されていて船酔いすることはないそうです。何より一番助かったのが、同じ6階にパソコンルームがあったことです。有料ですが、12台用意されています。でもEメール専用のパソコンだそうです。
皆既日食クルーズパンフレット
皆既日食クルーズパンフレット4
(3)いよいよ出航
7月20日午後3時に横浜港で受付を済ませ、約21年ぶりの皆既日食クルーズツアーに参加します。1999年のブルガリア皆既日食で同行した渡部潤一准教授、前回のクルーズツアーで同行した村山定男日食情報センター会長など錚々たるメンバーが揃いました。私の知り合いにも多く声が掛かっていたので、船内は知り合いが殆どのさながら船上オフ会となりました。

普段外国の皆既日食ツアーでしかお会いできない日本人が、皆既帯の正午中心食を目指して同じ豪華客船に乗っています。前回のクルーズのように小笠原の父島に上陸出来れば良かったのですが、今回は皆既日食を見るためだけに企画されたツアーです。日程も2009年7月20日〜7月24日までの4泊5日です。

本来は、ぱしふぃっくびぃなすに乗船する予定でした。
ツアー出発日の半年前にツアー代の残金を全額払わなければならなかったので、どうしても支払うことが出来ずキャンセルして、後日ふじ丸に乗船することになりました

…なので上記は想像で書いた机上観測紀行文です
皆既中の星空
Provided by Fred Espenak, NASA/GSFC

2009.7.22 皆既中のぱしふぃっくびいなす甲板から本影錐を撮影

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