豪華客船皆既日食・海上編
(12)幻の孀婦岩
父島上陸の翌日、ふじ丸は丸一日かけて姫路まで航行します。その間、太平洋に浮かぶ孀婦岩を一周します。孀婦岩で検索すると、この岩を登って制覇した…と言うような写真も出てきます。ここは航海の難所で、普通の定期船は夜に通過するのでなかなか見られない岩です。
豊富な漁場と高い透明度からスキューバーダイビングをするために、この岩を目指すヒトもいます。海鳥の生息地となっているため、岩は鳥の糞で白くなっています。
孀婦岩を横切る
孀婦岩のGPSは、北緯29度47分39秒 東経140度20分31秒の位置にあります。面積は0.01kmしかなく、高さは99mあります。水面に対して垂直方向に柱状節理と呼ばれる岩肌が見られます。
鳥島の南約76kmに位置する孀婦岩には、2042年4月21日に鳥島と共に皆既日食が見られる日本で唯一の陸上となります。孀婦岩の頂上は足場を支える程度の岩盤しかなく、一歩足を踏み外すと海中に落下してしまいます。
別角度の孀婦岩
朝6時頃に孀婦岩を周遊したふじ丸は、朝8時過ぎに鳥島へ近づきます。鳥島の北側には、気象庁鳥島気象観測所跡地がありました。まだその残骸も残っています。
1965年5月10日に国の天然記念物保護地域に指定されてからは、一般者は上陸が出来ない島となっています。鳥島には、年数回の学術目的調査で上陸する研究者だけが上陸を許可されています。2042年4月21日の皆既帯は、正午中心食の近くに陸地があるにも関わらず一般の観測者は今回と同様に客船で観測せざるを得ない状況です。
鳥島近景
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