最長の皆既日食と金環日食

〓最長の皆既日食〓
どのような条件となれば最長の皆既日食となるのでしょうか?
最初に、月の視直径が最大である必要があります。これは軌道上で月が最も地球に近い点にいなければならないことを意味します。この条件は、27.55日毎に起こります。

二番目に、太陽の視直径が最小である必要があります。これは地球が太陽から最も遠い点にいなければならないことを意味します。
この条件は、365.26日の遠近日点周期でおこります。現在の遠日点は、6月4日頃です。

三番目に日食の時間が長くなるには、地上での月の影(本影錐)ができるだけゆっくり移動しなければなりません。日食の時、月の影は地球中心に対して3380km/時で移動します。地球は西から東に向かって自転していますが、これは月の影の進む方向と同じです。
北緯40度または南緯40度で自転による地表の速度は、1270km/時でこの分だけ月の影の速度は遅くなります。
赤道上では自転による速度が1670km/時になるので、月の影の速度は1710km/時まで減速されます。
これで皆既日食の継続時間、ベイリービーズなど全ての日食の経過が引き伸ばされます。

最後にもう数秒だけ日食を伸ばす要素があります。月は、我々の上空に浮かんでいます。地球の半径は6400kmあり、我々はその上にいます。そこで地球の縁に居るより真中(正午中心)に居る時のほうが月の視直径が大きくなり、それだけ食分が大きくなります。月が天頂に見える緯度は、太陽の場合と同じように赤道の南北23度〜1/2度の範囲で季節によって変化します。日食の継続時間がちょうど赤道で最大になることは稀ですが、常に熱帯地方になります。事実上の皆既日食最大継続時間は、7分31秒と計算されます。

2186年7月16日に最大継続時間が7分29秒続く皆既日食地図
2186年7月16日に最大継続時間が7分29秒続く(※印部分)皆既日食地図
ちなみに陸地では、ガイアナの海岸沿いで7分ほど皆既日食が継続します
BC3000年〜AC7000年の中でも、これを超えるほどの継続時間はありません


♠皆既日食の最長継続時間について
理論的な日食の最長継続時間:7分31秒
10,000年間での最長継続時間:7分29秒−AC2186年 7月16日 *10,000年とは紀元前3000年から紀元7000年の間です。

千年紀毎の最長時間…BCとは紀元前を差し、ACは紀元を差す。
BC3000年からBC2001年まで :7分21秒−BC2230年 5月17日…saros   2
BC2000年からBC1001年まで :7分05秒−BC1442年 6月 3日…saros  23
BC1000年からBC   1年まで :7分28秒−BC 743年 6月15日…saros  54
AC   1年からAC1000年まで :7分24秒−AC 363年 6月27日…saros  81
AC1001年からAC2000年まで :7分20秒−AC1062年 6月 9日…saros 112
AC2001年からAC3000年まで :7分29秒−AC2186年 7月16日…saros 139
AC3001年からAC4000年まで :7分18秒−AC3991年 7月24日…saros 197
AC4001年からAC5000年まで :7分12秒−AC4009年 8月 4日…saros 197

20世紀で6分を超える皆既日食
 6分29秒−1901年 5月18日…saros 136
 6分20秒−1904年 9月 9日…saros 133
 6分51秒−1919年 5月29日…saros 136
 7分04秒−1937年 6月 8日…saros 136
 7分08秒−1955年 6月20日…saros 136
 7分04秒−1973年 6月30日…saros 136
 6分53秒−1991年 7月11日…saros 136

21世紀で6分を超える皆既日食
 6分39秒−2009年 7月22日…saros 136
 6分23秒−2027年 8月 2日…saros 136
 6分06秒−2045年 8月12日…saros 136
 6分06秒−2096年 5月22日…saros 139

21世紀で7分を超える皆既日食の数             :0
1098年6月1から1937年6月8日の839年間で7分を超える日食の数:0 
注:長い継続時間の皆既日食は6月4日を中心に分布しています。これは6月4日が平均の遠日点日で、太陽の視直径が
  最も小さくなる日です。更に詳しいDATAはこちらで紹介しています。
  西暦2186年7月16日に起こる皆既日食の食分は1.080なので、月の約1割が太陽を余分に隠しています。
♥金環日食の最長継続時間について
理論的な日食の最長継続時間:12分30秒
10,000年間での最長継続時間:12分24秒−AC 150年12月 6日 *10,000年とは紀元前3000年から紀元7000年の間です。

千年紀毎の最長時間…BCとは紀元前を差し、ACは紀元を差す。
BC3000年からBC2001年まで :11分 2秒−BC2036年11月24日…saros   0
BC2000年からBC1001年まで :12分 7秒−BC1655年12月12日…saros  25
BC1000年からBC   1年まで :12分 8秒−BC 177年12月22日…saros  58
AC   1年からAC1000年まで :12分24秒−AC 150年12月 6日…saros  83
AC1001年からAC2000年まで :12分 9秒−AC1955年12月14日…saros 141
AC2001年からAC3000年まで :11分 8秒−AC2010年 1月15日…saros 141
AC3001年からAC4000年まで :12分 9秒−AC3080年 1月14日…saros 168
AC4001年からAC5000年まで :11分 8秒−AC4885年 1月20日…saros 226

1992.1.4 annular 20世紀で9分を超える金環日食 11分 1秒−1901年11月11日…saros 141 11分37秒−1919年11月22日…saros 141 12分 0秒−1937年12月 2日…saros 141 12分 9秒−1955年12月14日…saros 141 12分 3秒−1973年12月24日…saros 141 11分41秒−1992年 1月 4日…saros 141  右図参照→ 21世紀で9分を超える金環日食 11分 8秒−2010年 1月15日…saros 141 10分27秒−2028年 1月26日…saros 141 9分42秒−2046年 2月 5日…saros 141
注:長い継続時間の金環日食は1月3日を中心に分布しています。これは1月3日が平均の近日点日で、太陽の視直径が
  最も大きくなる日です。更に詳しいDATAはこちらで紹介しています。

  長い継続時間の金環日食がおこるのは、月の見かけの直径が小さい時におきます。皆既の場合とは正反対の条件です。

  長い金環日食は、環の幅が広くなって周囲もそれほど暗くならず、ベイリービーズを見ることも難しくなります。

  西暦150年12月6日に起こった金環日食の食分は0.915なので、太陽の約1割が最大接触中に見えています。
150年12月6日に最大継続時間が12分24秒続いた金環日食地図
150年12月6日に最大継続時間が12分24秒続いた(※印部分)金環日食地図
BC3000年〜AC7000年の中でも、これを超えるほどの継続時間はありません

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