左の写真は、2001年6月21日にアフリカ南部ザンビアの首都ルサカで撮影した太陽活動極大期型の丸い形をしたコロナです。1995年に撮影した極小期型のコロナと違って全方向にコロナの流線が伸びています。これは、極小期型に比べ黒点の数が多いために太陽内部の活動が活発になり、磁力線も平衡を保てなくなるので無秩序に壊れます。それと比例してコロナの形も球対象に吹き出すので、地球から見ると全方向に向かってコロナが伸びることになります。 右の写真は、1995年10月24日にタイ東部のチョクチャイで撮影した太陽活動極小期型のコロナです。斜め方向にコロナの流線が伸びています。これは極大期型に比べ黒点の数が少ないために太陽内部の活動が低下して、磁力線が平衡を保つために有翼日輪型の横が長いコロナとして見られます。コロナと垂直な面で見える流線は太陽磁場の磁力線です。この磁力線が見える時期は極小期型の特徴です。 |
モヒカン刈りコロナとは、1999年や2001年に見られた極大期型のコロナが約1/20の確率で写真のように見られることを言います。例えば、ロックを志すモヒカン頭のミュージシャンを想像して下さい。普段のコロナはミュージシャンの頭が横向きで全方位型に見えます。今回はモヒカン頭を正面から見たような格好で見られたのでモヒカン刈りの頭に例えて題名としました。このように縦型に見られたコロナは数えるほどしかなく、大変珍しい形のコロナだと言えます。ちなみに1970年3月7日にはやや変形したモヒカン刈りコロナが観測されています。地球と太陽の距離は大変離れているので、完全に地球側にモヒカンが向かないと殆どの場合、全方位型のコロナが見られます。 右の写真は1998年2月26日に南米ベネズエラのグアヒラ半島の付け根にあるカラスケーロ町で撮影した太陽活動中間期型のコロナです。斜め方向にコロナの流線が伸びています。これは極大期型に比べ黒点の数が比較的少ないために太陽内部の活動が低下して、磁力線が平衡を保つために有翼日輪型の横が長いコロナとして見られます。コロナと垂直な面で見える流線は太陽磁場の磁力線です。この磁力線が見える時期は極小期型の特徴ですが、中間期の場合は磁力線の数や規模が極小期型に比べて少なくなります。これが太陽活動中間期型の特徴です。 |
■専門用語の説明 有翼日輪型とは…主に極小期型のコロナに見られる形で、まるで太陽に翼が生えたようなコロナが双方向に現れることから名付けられました。太陽磁場の磁力線が見られます。 全方位型とは……主に極大期型のコロナに見られる形で、太陽全体に渡って大きく広がりを持ったコロナが現れることから名付けられました。太陽磁場の磁力線は崩壊しています。 磁気中性面とは…極大期型・中間期型・極小期型を問わず見られるコロナの明るい部分。極大期型の時は地球と太陽の距離が大変離れているので、完全に地球側にモヒカン(磁気中性面)が向かないと殆どの場合、全方位型のコロナが見られます。 太陽磁場の磁力線 コロナから放出される粒子の太陽風は高温であるがゆえに磁場を伴っていることも観測されています。この太陽磁場の磁力線が"太陽風"によって惑星空間を進んでいること、また太陽風は一定ではなく太陽の自転である27日周期で変動していること、太陽風の変動が地球磁場変動と対応していることも明らかになりました。太陽は自転しているので磁力線はねじられた形となります。偏光フィルターでコロナを観測すると、磁力線方向の違いが良く分かります。 参考図書 SkyWatcher1991年7月号東北大学理学部教授 斎藤尚生氏の文献から一部引用しました。 |