Eclipse Realization [月食解説]

皆既日食は、太陽・月・地球が一直線になった時に昼側の新月の影になった一点でしか見られない現象です。皆既月食は、太陽・地球・月が一直線になった時に地球の夜であればどこからでも見られる現象です。つまり満月の月が太陽の影となった地球に隠されるワケです。その昔、月食の経過を見た古代の人間が、地球は丸かったことを証明できたそうです。

逆に月食中の月から見ると皆既日食が約1時間半も続いて見られることになります。皆既月食中の月は完全な闇とはならず、ほんのり紅く見えます。これは地球の大気が太陽の光に照らされて夜側まで影響することに依ります。地平線に沈む太陽が赤いのは大気の層が厚くなり、青い光を吸収してしまうので紅く見えます。昼間の太陽は白く見えますが、地球の薄い大気を通して見えるので、様々な光が集まった太陽は光の原則によって白く見えます。TVの白い画像を拡大して御覧下さい。そうすれば赤・青・緑の光が一緒に光って見えます。これらが光ると白色を形成するワケです。

少し深く掘り下げて説明したので難解な部分もあるかも知れません。月食は満月が地球の影に隠されて見えるものだと御理解戴ければ幸甚です。

皆既月食皆既月食の場合(食分1.000以上)

皆既月食

地球の影(本影)が月に届いた状態で皆既月食が見られます

部分月食部分月食の場合(食分0.999以下)

部分月食

地球の影が月を覆い隠すには至らないため、月が欠ける部分月食が見られます


〓全く見られない金環月食〓
月が地球より小さい以上は金環になりません。月の大きさは直径が約3476km。一方地球の大きさは直径が12756kmあります。月より地球の方が約3.6倍大きいため金環月食は起こり得ないのです。


§半影月食とは…§
満月が薄暗くなる半影月食は肉眼で非常に分かりづらく、殆ど注目されない天文現象です。

半影月食模式図半影月食模式図

太陽が地球よりも大きいため、太陽光は地球の手前で交差して地球の影との間にボヤッとした半影ができます。

地球の夜から見た月の移動する様子

地球の夜から見た月の移動する様子です。半影・本影の移動まで含めると月食継続時間は最大で約6時間も継続します。皆既月食自体は1時間〜1時間半継続して見られる場合が多いです。部分月食や半影月食しか起こらない場合もあります。


§月の不思議Q&A

Q:ところで、月の満ち欠け満月とか新月のときに、データ的に出産が多いということを調べたお医者さんがいるそうです。これは、どんな関係があるのでしょうか?

A:マァ、自然の摂理でしょうね。例えば海ガメの出産にしても満月前後だし、サンゴの産卵にしても満月の三日前後には卵が海中に放出されるから、それと同じような原理なんでしょう。

目に見えないのですが、月にも引力があります。月があると満潮や干潮が起こります。また月があることで地球の自転もコマのように正確に回ります。地軸が23.27度傾いたまま安定するのも月がある御陰なので、地球には四季があります。

その月が一晩中出ている満月に出産が多いことがお分かり戴けると思います。

Q:なぜ、皆既月食が毎回見られないのですか?

A:月の公転(地球の周りを周回する運動のことで、地球が太陽の周りを廻るのと同じ運動のこと。)面が地球に対して傾いているので(この軌道の事を白道と言います。)満月の時にいつも皆既月食が見られるとは限りません。

日食と月食は起きた日付を調べると、日食が起こる15日前後には必ず月食が起こります。月食が起こると天文誌に書いていない場合でも、先の半影月食は見ることができます。

2004年の場合は、4月19日に大西洋の一部で部分日食が起こります。その15日後の5月5日にはインドやヨーロッパで皆既月食が見られます。大西洋で日食が見られた半年後にも部分日食が起こります。これは10月14日で北アジアと日本とアラスカ等で見られます。その15日後の10月28日にもヨーロッパやアメリカで皆既月食が見られます。

Q:皆既月食には皆既日食のサロス周期ような法則があると聞きましたが…

A:月食にはメトン周期と言うものがあります。これは月の満ち欠けと季節の一致が循環する周期のことで、紀元前433年にアテネの数学者メトンが発見しました。

例えば太陽暦の5月20日が満月なら、19年後の5月20日も満月になるということで、「19太陽年は235朔望月に等しい」ということです。メトンはこの周期を6940日として、19年間に7回の閏月を入れる計算になっています。

つまりちょうど19年に一度は、似た規模の部分月食(半影月食も含まれる)または皆既月食が見られると言う事ですね^_^;
皆既月食掲載新聞記事
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