■皆既日食が見られる間隔 右の図は、1001年から2000年までの皆既日食帯を記した日本周辺の拡大地図です。 下の図は、1001年から2000年までの皆既日食帯を記した世界地図です。 このように千年単位で各サロスの皆既日食帯を追っていくと、幾つかの網の目状になった空白を除いてほぼ皆既日食の見られる場所が地球上を網羅しています。 稀に大都市部が空白地帯となっていますが、これは皆既日食間隔の例外となります。 ちなみに、金環皆既日食の皆既帯になった部分は記録しておりません。 例外的に長い場合・・・約千年以上 例外的に短い場合・・・・約一年半の特異点 ロンドン 878年10月29日 ニューギニア南部 1983年 6月11日 1715年 5月 3日 1984年11月22日 エルサレム 1133年 8月 2日 アンゴラ・ロビト北部 2001年 6月21日 2241年 8月 6日 2002年12月 4日 東京 1460年 7月18日 シベリア・ビィスク南部 2006年 3月29日 2762年 8月12日 2008年 8月 1日 皆既日食間隔の例外となった資料はhttp://eclipse.gsfc.nasa.gov/eclipse.htmlから引用 ちなみに皆既日食が見られる平均的な間隔は、観測地から動かずにその場で留まっていると約375年に一度の割合で見られます。 この図は、20年ごとに記録された1枚の皆既日食経路図を50枚重ねて作られたものです。基となる雛形は歯抜けがあったので、多少書き加えました。25年単位で皆既日食経路図を記すと、下図のように限られた地域しか皆既日食帯が通過しなくなります。 2001-3000までの皆既日食帯経路図も似たような形となり、皆既日食間隔の例外的に長い地域も短い地域も同様に存在します。そのサロスの通過する場所が限られるので、一年半に2回も皆既日食が見られる場所は地球上に幾つか存在しますが、その殆どは海上です。 ■日食銀座 皆既日食が短期間で特に多く見られる地域を“日食銀座”または“皆既日食銀座”と呼びます。 北海道では、1936年6月19日から1963年7月21日までの間に3回も見られました。この頃の北海道は、日食銀座と呼ばれていました。地図の日付は世界時です。 1936年6月19日の皆既日食以外、皆既帯の正午中心食が全て日付変更線の東側で起こった日時です。日付変更線の西側に位置する日本では、1日だけ日付がプラスされます。 以下の図は、2021年から2040年にかけて見られるオセアニアと南米の日食帯です。この時期オセアニアでは皆既日食帯が集中して通過するのに対し、南米では金環日食しか見られないことが分かります。このように、大陸別に分けて日食帯の集中する地図を見るのも面白いことだと思います。 ■珍しい日食帯 右の図は、金環日食帯に皆既日食帯が封入されたような珍しい日食経路図です。いずれのサロスもこれから成長期に入るもので、成長期サロス特有の形状となっています。極地方で起こる日食は、太陽の光が斜めに入ります。それに伴って、本影錐(月の影の円錐)や擬本影(本影からはみ出した光環)も斜めになります。その結果、大地に幅広く伸びた影が皆既日食や金環日食などの中心食の幅を広げることにもなります。 この地図は、1522年3月27日に皆既日食が起こり、1529年11月1日で金環日食が起こったために金環日食を示す赤で塗りつぶされています。…つまり、皆既日食が見られた極狭い範囲を囲むように金環日食が見られたと言う珍しい日食です。それも全ての経過がロシア国内の陸地で見られた珍しいケースです。 以下の図は、皆既日食帯が重なっている珍しい例です。似たような帯ですので、分かりやすくするために年代別に色分けをしました。 真ん中の図は1787年6月15日に起こった皆既日食帯で、一番下の図は1797年6月24日に起こった皆既日食です。 シベリアのタイミール半島では、ちょうど10年の間に二度も皆既日食が見られた特異点となりました。これもサロス成長期特有の現象です。まれに中緯度地域で帯状になった皆既日食帯の一部が重なることはあるのですが、皆既日食帯の全てが重なる経路図は、紀元前1000年〜紀元後3000年の資料からこれしか見当たりませんでした。 管理者に無断での使用・複製・転載・流用禁止 |